淡路の島からハニーナイト@岡山(ヒバリ照ラス)

3月10日(土)、岡山でトークイベントをしてきました〜。
イベント名は「淡路の島からハニーナイト」!


△△淡路の島からハニーナイト△△
日時:3月10日(土)19:30〜21:00
・トーク、はちみつ食べ比べ(1時間)
・みんなでフリートーク(30分)
参加費:1,500円(1drinkとはちみつの食べ比べ付き)

呼んでくれたのは、岡山市表町商店街の一角にある「ヒバリ照ラス」さん。
「日々、誰かと誰かが出会う場所に。」をテーマに、ショップ・ホステル・レンタルスペースの3つの顔を持つ複合施設です。
この場所は2017年4月から始まっていて、私たち草地家が岡山から引っ越した後で出来たため、いつも面白そうな企画をしているのネット上で見かけるたびに参加したさを募らせていたのですが(時々ネット配信しているのを見て参加した気持ちになったりも。)、スタッフのキリさんと知り合いだったことからお声がけいただいて草地家のミツバチとの暮らしをお話しできる運びとなったのでした。

どんな方が来てくれるかな、とドキドキしつつ
蓋を開けてみればミツバチ好き、はちみつ好き、養蜂好き、草地家に興味もりもり、という感じの方たちが話を聞きに来てくださって、あっという間の2時間でした。

養蜂家と言うよりはミツバチ好き、ミツバチ萌え、情報萌えな草地家でして、
今回のテーマは「日本ミツバチの可愛さを草地家が語り尽くす!」ということに。
彼女らの生息している自然や地域の話から、西洋ミツバチと日本ミツバチのちがい、養蜂のこと、はちみつのことなどモリモリでお届けしました。
話を聞いた後は、季節ごとのはちみつをみんなで食べ比べながら、
実際の巣箱を見てもらいつつ、参加者から意見や疑問も飛び出しミツバチ話に花が咲き、エチオピアの養蜂事情なんかも教えてもらったり。

私たちが可愛いな、面白いな、と思っているものを
どんな風に受け止めてもらえるだろう、楽しんでもらいたいな、と
ドキドキしながら向かったのですが喜んでもらえたみたいでほんとによかった。
初めましての人も半数以上いて、新たな出会いが楽しく嬉しかったし、

お久しぶりの方には私たちが面白がっているミツバチの話や近況を知ってもらえる機会になって嬉しい機会でした。

日本みつばちの可愛さをたくさん喋った後は・・・

ハチミツを実際に食べてみる。

 

そしてそして、3月いっぱいまでの期間限定で草地家のハチミツを取り扱ってくださっています。
お近くを通る際は、ぜひぜひお立ち寄りくださいませ!

春の蜜はしっかりした花の香りが特徴的。チーズとも相性◎

はちみつって、とってもスゴイ

今夜はすもとLabさんに声をかけていただいて、『はちみつって、とってもスゴイ』というイベントで、みつばちやはちみつについてお話をさせていただきました。

はちみつってとてもスゴイ 

最初に、「みつばちを飼っている方」って聞いてみたら、参加者8人うち約半数の方が手を挙げて、ちょっとびっくり。

旦那さんが飼っているとか、今年から飼い始めましたとか、巣箱を置いたら勝手に入ってくれたとか。さすが、ニホンミツバチの島、淡路島。
 
みつばちのこと、はちみつのこと、はちみつの種類、日本の流通のこと、砂糖との比較など。盛りだくさんな内容をお伝えして、春・夏・秋のはちみつを食べ比べ。
そのまま、tonekoさんの素敵なご飯をいただきながら、質問もたくさんあり、たくさんのお話ができました。

 
「へー知らないことばっかり」「みつばち、かわいいよねー」などなど。

参加者の皆さんには楽しんでいただけ、そして、私たちもとても楽しかったです。
 
今回の資料やお話しした内容を振り返り、伝わりにくいところもあったので、もっとわかりやすく、楽しくお伝えできるように少しずつレベルアップしていきますね。そして、私たちもまだまだ勉強不足・経験不足なので、実践もコツコツと頑張ります。
 
今回はありがとうござました。
また、このような機会ができればと思います。
そして、会場の淡路島 tonekoさんは、前々から気になっており、今回はじめてお伺いすることができました。今度はゆっくりとお伺いしたいなー。

 

草地家のはちみつ

みつばち社会〜働き蜂⑨扇風と温度調節〜

働き蜂のお仕事のことも、今回で9回目。
今回は、働き蜂たちと巣の中の温度調節について。

巣箱の中の温度調節

巣の中にいる働き蜂たちは、巣内の温度をほぼ一定の温度(巣の中心温度は約32~35度)に保ち続けるため、暑い夏や寒い冬、巣の中などで様々な取り組みをしています。

巣内の温度を一定に保つ一番の理由は、幼虫を正常に発育させるためであり、育児圏の温度を一定に保つことが何よりも大切なことなのです。子どもたちのために快適な空間を作っているのですね。そのため、ミツバチは、巣温の変化を敏感に感知する温度感覚を持っています。

夏の暑いときは

気温が高いと、幼虫を育てるための適温を超えてしまうため、巣内を冷やす工夫が行われます。

蜂密度を下げる

まず、中央に重なるように巣板上にいた働き蜂の間に隙間ができ、中央の巣板に集中していたものが外側の巣板に分散することで、蜂密度を下げて、温度を下げます。

ニホンミツバチの巣の中では、みんなそれぞれ仕事をしています。

また、それでも暑いときは、熱を持っている自分たち(働き蜂)が巣の中から外に出ていくことで、巣の中で蜂が減って、蜂密度を下げることで、巣の中の温度を下げようとします。たくさん働き蜂が、巣箱の外に出て、巣箱の外側にびっしりとつくことがあります。

みつばちが外に

巣の中の温度を下げるために外に出てきたみつばちたち

さらに暑いとき、風を送る

さらに暑いときは、働き蜂たちが翅を羽ばたかせて、巣の中に風を送って、暖かい空気を外に外に出し、空気を入れ替えます。ちなみに、参考文献によると、この扇風の羽ばたき回数は、1秒間に150~200回程度であり、飛んでいるときは、1秒間に250回であるので、少しゆっくりと羽ばたいているそうな。

この扇風方法はニホンミツバチとセイヨウミツバチでは違っています。

セイヨウミツバチの場合

巣門に頭を向けて羽ばたくことで、巣門から巣内の暖かい空気を “排気(外に抜き出す)”します。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチの扇風写真を持っていないので、代わりに暑くて外に出てきているときの様子

ニホンミツバチの場合

その向きは逆で、巣門にお尻を向けて羽ばたくことで、外の涼しい空気を巣内に送り込む“送風”の役割をします。そのため、巣箱の蓋や巣箱上部には水滴がつき、湿った状態になるのもニホンミツバチの特徴です。

ニホンミツバチの扇風行動

巣門にお尻を向けて羽ばたきます。

ニホンミツバチの場合は、直接巣内の匂いを巣の周辺に排出することは、天敵であるスズメバチなどの危険性が高くなることや、襲ってきた害敵への攻撃態勢が素早くとれるように頭部を前方に向けているのだろうと言われています。

今回はここまで

暑いとき対策にはまだ続きがあるので次回はその続きを。そして、寒いときはどうするのかなっていうことも書いていきます。

扇風機のように羽ばたいて風を送ることで巣の中を快適にする。働き蜂にしかできない、大切なお仕事の一つです。

 

参考文献

フォーガス・チャドウィック、2017、『ミツバチの教科書』、株式会社エクスナレッジ
吉田忠晴、2005、『ニホンミツバチの社会をさぐる』、玉川大学出版部

みつばち社会〜働き蜂⑧職人の技が光る!みつばちの部屋作りの巻・前編

成長に伴い、様々な仕事に取り組む働き蜂。
羽化してからの内勤期(10日〜20日)には、
巣房作りにも取り組んでいます。
蜂蜜や花粉を貯蔵したり、子育てをしたり、
時には頭を突っ込んで一休みする(本当にそんな風に休むそうな)、
そんな、みつばちにとっての部屋=巣房作りは
どんな風に行われているのでしょうか。
見ていきましょう。

巣の素材は自分で作る

みつばちのお腹

このワックスミラーからロウを分泌します

みつばちの巣は、
みつばちが分泌するワックス=蜂ろうで作られます。

(体のどこから蜂ろうを出しているのか、どう処理していて、
どれだけの労力がかかるすごいことなのかについては、
以前書いたこちらの記事を御覧ください)

ちなみに、ミツバチ研究者のタウツは、
「ミツバチは、巣板の材料を自分で造り出すという点で、動物界のエリートに属する」(丸野訳、2010)なんて、
初孫を可愛がるおじいちゃんみたいなことを言っています。
(彼の著書はミツバチ愛に満ちていて、表現もなんだかドラマチックなものが多いので
読んでいるとクスりと笑えておすすめ)

他には「ロウと蜜の間には敏感な需要–供給の関係がある。貯蔵庫が手ぜまになれば、ハチは体内に蜜を貯めておかざるを得ない。多くの個体でこの状態がつづくと、その一部はロウに転換され、貯蔵庫新設の材料が造られる。人類が出現するはるか以前に、彼らは昆虫仲間での”産業革命”に成功した。」(坂上、1983)なんて風にも言われていたり。

えらいよ、ミツバチ。

みつばちのルックス

一斉に一気に作る

さて、そんな「動物界のエリート」たちはどうやって巣房を作っていくのでしょう。

最も活発に巣房が作られるのは、分蜂直後。
新しい住処を見つけたミツバチたちは、早速巣房を作り始めます。
蜂ろうを作り出すにはとてもエネルギーが必要なのですが、
その際のエネルギー(=蜂蜜)は古巣から飛び立つ際に、
蜜胃いっぱいに蓄えて旅立っているのです。

分蜂 触る

新しい巣に移ろうとして一旦木にとまった分蜂群に指を差し込んでみる。みんな人間に構っちゃいられないくらいお腹いっぱい精一杯。

とはいえ、蓄えとして持ってこれているのはせいぜい5000個の巣房を建築できる程度のもの。
中ぐらいの規模の巣の巣房が約1000,000個であることを思うと全然足りていない。
小規模どころの話ではない。
ということで、巣の建築が速やかに行われるとともに、花蜜の収集も即開始されるのです。
(ほんと、いつも働き者だけど、分蜂直後はひときわ大忙しだなぁ。。。)

①下地を塗る

そんな巣房作りは上部に下地を塗るところから始められます。
まず、蜜蝋の塊を塗りつけます。
どうやって塗りつけるかというと、
自分の腹部の腺から分泌した、コンタクトレンズのようなロウを、
後ろ足の櫛のようになっているところで器用に取り、
口まで運び、強い顎で柔らかく扱いやすい温度と硬さになるまで噛んで練ります。
口内で練られたロウは、白色のリボン状に変わり、
このリボンを顎で噛みきり、ペタリと塗りつけるのです。

と、盲目のみつばち研究者ユーベルはそんな風に報告しているそう。
(優秀な助手との二人三脚で生涯研究を続けたのだとか。)

②ピン先のような初期の巣房、そして下絵作り

さぁ、下地を作ったら今度はそこに塗り重ねて
下へ下へと伸ばしていきます。
巣房の壁自体はとても薄い(0.07mm)のですが、
最初に基礎として作られるこの部分は、その10〜20倍ほども分厚いのです。
そして、一旦分厚く作った壁を、みつばちたちは両側から孔を掘っていき、
次第に薄くします。
そして削り取った材料は、下方の巣の土台作りに再度使われるのです。
こうして窪みがついた、巣房の下絵が出来上がります。

と、そんな観察をしてレポートしたのはダーウィンだそう。

③いよいよ6角形の巣房ができる

窪みのついた下絵が出来たら、今度はその絵に沿って、
一つの部屋ごとに仕切るべく壁をこしらえていきます。
働き手は絶えず入れ替わり、交代しながらロウを使って下絵に沿って壁面を作り上げ、
巣房を作り上げていくのです。

日本みつばちの巣

6角形はどうやってできるの?

さて、ここで、6角形の巣房は、初めは円柱としてできたものが部屋数の増加に伴い、
相互の圧力や熱によって、次第に6角形になるんだ、という説があります。
確かに、丸が合わさると6角形になっていくし、
ある種のハチの巣ではそうした経過が見られるといいます。

しかし、みつばちは違うのだ、という説もあるわけです。
私としては、6角形は初めから保たれているという説を支持したいなぁという気がします。
ということで、次回はここのところを坂上(1983)の紹介する、マーティンとリンダウアーの研究から見ていきます。

ということ、今回はここまで!
(6角形がどうやってできるのか、面白そうなんだけど読解が難しい!ぐぬぬ。)

 

参考文献
坂上昭一、1983、『ミツバチの世界』、岩波新書
Juergen Tautz、丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

みつばち社会〜働き蜂⑦貯蔵係と蜂パン〜

働き蜂たちも日齢が進んでいくにつれて、巣の中でできること、やる仕事が増えていきます。巣の中での彼女たちの仕事は様々なのです。

たくさんのミツバチがいるなかで、どの時期に、どのように役割(仕事)の分担が決まっているのかということはよくわかっておりません。

ということで、今回は内勤のお仕事の1つ貯蔵係についてご紹介。

復習:働き蜂④キャリアパス(日齢分業)というコラムできましたが、働き蜂は日齢分業という世界。内勤でお仕事をするのは、10日~20日頃までで、内役期とも言うそうです。

貯蔵係のお仕事

外で蜜を集めてきた働き蜂から蜜や花粉を受け取り、

巣房の中に詰めていくのが貯蔵係のお仕事。

蜜を詰める

貯蔵係の働き蜂たちが、外勤の働き蜂から蜜の受け取るその方法については、以前のコラムで書きましたが、口移しのバケツリレー方式です。(詳しくは以下の通り)

蜂たちは、まず花の蜜を吸い集め、蜜を貯める胃(蜜胃)に一旦溜めておきます。
十分に蜜胃がいっぱいになったところで巣に戻り、今度は口移しで中の蜂に蜜を受け渡します。
そして今度は受け取った蜂が別の蜂へと口移しでバケツリレーのように渡していき、
貯蔵係の蜂まで辿り着いたところで巣に注ぎ込まれ、蓄えられます。
みつばちコラム 蜂蜜って何?〜蜂蜜ができるまで〜より抜粋)

巣の中にいる内勤の働き蜂同士でこのバケツリレーを何度も繰り返しながら、酵素が混ざり、水分を飛ばしていくのです。

みつばちの口吻

口から出ているのは、舌ではなくて、お口(くち)そのものなのです。この長い口(口吻)で蜜の受け渡しをします。

そして、何度か繰り返したあと、貯蔵係は巣房の中にお口から吐き出した蜂蜜っぽいものが詰めていきます。(この時点では完全な蜂蜜ではなく、この後、みつばちが羽ばたきで風を送るなど、空気に触れることで水分が飛ばされて、蜂蜜ができていきます。)

花粉を詰め込む

貯蔵係は、蜜だけではなく、外勤の働き蜂から花粉も受け取ります。
(花粉は大切なタンパク質。前回の授乳・給餌のお話であったローヤルゼリーは、若い働き蜂が花粉を食べて作り出します。)

受け取った花粉は、貯蔵係によって噛み砕かれて、巣房の中に押し込まれていきます。ちなみに、その押し込む方法は、頭で押し込むだそうです。その時、この花粉に蜂蜜が塗られて固められていくそうです。

蜜ぱん

蓋がない部分に花粉がみっちり。きっと貯蔵係が頑張って頭で押し込んだんですね。

こうやって巣房の中に作られた花粉のことを蜂パン(はちパン)やビーブレッド(bee-bread)、貯蔵花粉と呼ばれています。

ちなみに、この頭で押し込むを何度か繰り返すので、この花粉は地層みたいになっています。

蜜ぱん

たくさんの花粉で少しわかりにくいですが、花粉の層ができています。

今回の学びは蜂パン

今週は、内勤の働き蜂の中でも「貯蔵係」のお仕事について取り上げてみました。蜜を詰め込むだけではなくて、花粉も詰め込んでいるのです。しかも頭を使って。

そして、その名前が「蜂パン」というなんともかわいい名前ということを知りました。

今回はこれでおしまいです。
次回も働き蜂のお仕事の紹介が続きます。

参考文献:
山田養蜂場:http://honey.3838.com/lifestyle/meal.html
はい、やっこです!!:http://cerana.blog.fc2.com/blog-entry-101.html

みつばち社会〜働き蜂⑥次の仕事は授乳・給餌〜

先週のコラムから、日本みつばちのお仕事を
孵化してから順を追って見ていっております。
前回のコラムで見たように、
生まれて最初に取り掛かる仕事は、巣の掃除と赤子の保温作業。
保温方法にびっくりでした。
隣の巣房や蓋の上から蜂肌で温めてるなんて、なんかちょっと可愛い。

掃除、保温、お次は授乳・給餌

さて、そんな彼女らが次に取り掛かる仕事が、授乳です。
えっ、さっき蛹から出てきたばかりなのでは?という気もしますが、彼女らが次に取り掛かるのは、孵化したばかりの幼虫に惜しみなくローヤルゼリー(姉妹ミルク)と呼ばれる栄養分を供給する作業なのです。

授乳を担うハチは、羽化後おおよそ5日〜15日の若い働き蜂。この時期は、ローヤルゼリーを生産するために大量の花粉を消費します。

ローヤルゼリー(姉妹ミルク)って何?

健康食品・栄養補助食品などのコーナーで見かけることのある「ローヤルゼリー」。
栄養価の高いイメージを持つものの、一体それが何なのかあまり知らない方も多いのではないでしょうか。
ローヤルゼリーとは、若い働き蜂が作り出し、卵から生まれてからみつばちの幼虫が3日間程度、女王蜂が一生涯食べる高栄養価な特別食。

「ミツバチの幼虫は卵から孵化して楽園に到着する」(丸野訳,Tautz,2010)と言われたりするように、羽化するとすぐに与えられ、プールのように浸かることになるのが、ジュース状の高栄養価な食料「ローヤルゼリー」なのです。

ローヤルゼリーに浸かる幼虫たち

そしてそんなローヤルゼリーを作るのは、幼虫たちの母である女王蜂ではなく、姉妹たち。そのため「姉妹ミルク」とも呼ばれます。
素材は花粉と蜂蜜。みつばちが、これらを体内で分解・合成したクリーム状のものが「ローヤルゼリー」です。

ローヤルゼリーは、みつばちにとってミルクにようなもの。主成分は脂肪酸で、色合いもほんのり白っぽく、指先につけて舐めてみるとコッテリとした風味の液体です。

食べ物で変わる身体

幼虫期に与えられるものがローヤルゼリーのみで、花蜜や花粉へと変化しない場合には、幼虫は女王蜂へと成長を遂げていきます。
そう、実は女王蜂か働き蜂かを決めているのは、実は生まれてからの食料なのです。
もちろん、群れが計画的に女王を作り出す場合には、「王台」と呼ばれる女王蜂専用のベッドルームが作られ、そこで出産・育児が行われます(与えられるものはローヤルゼリーのみ)。
しかし、不幸なことがあって女王蜂が死んでしまった場合には、働き蜂の幼虫にローヤルゼリーを与え続けて、女王を製造することも行われるのです。
働き蜂か女王蜂か、その分岐は生まれながらではなく食にあったのです。

授乳から離乳食へ

そんなミツバチが幼虫期に消費する姉妹ミルクは25mg。
生まれてから3日間はすべての幼虫にこのミルクが与えられますが、働き蜂の幼虫は3日がすぎると、与えられるものに含まれる成分が変化していきます。姉妹ミルク100%だったのが、徐々に花粉と蜜が混ざるようになり、最後の齢になると完全にミルクから、花粉や花蜜、蜂蜜へと切り替えられるようです。
なんだかまるで、ミルクから離乳食、幼児食への変化みたいですね。
実際、この姉妹ミルクは哺乳動物の母乳と同じく、免疫力を高める効果を持っています。
幼虫の時期、細菌感染の経路として腸管からの病原体の侵入が挙げられるのですが、姉妹ミルクを摂取することによって、腸管内に入った細菌に対して免疫防御力が発揮されるのです(丸野内訳,Tautz,2010)。

ワーカーゼリー?

3日目まで働き蜂も与えられる姉妹ミルク(ローヤルゼリー)、
実は女王候補と働き蜂の幼虫とでは質に違いがあるのです。

以前、みつばち社会~女王蜂①女王の誕生~でも少し触れましたが、
働き蜂の幼虫用のものは「ワーカーゼリー」とも呼ばれており、ローヤルゼリーではあるものの、女王用に比べると成分の薄いものが与えられているそう。

そして、女王に成るか、働き蜂になるかの分岐点は、ローヤルゼリーを与えられる期間だけではなく、
この姉妹ミルクの組成の違いも影響していると言われております。
組成の中でも、重要なのは「甘味」で、ローヤルゼリーのうち、重量の35%が六炭糖成分だと女王蜂になり、10%では働き蜂になるのだとか(丸野内訳,Tautz,2010)。

雄蜂への扱いはさらに雑?

 

ずんぐりむっくりとした見た目が可愛らしい雄蜂。
他の姉妹たちと比べて体が大きい分、食事量も多いそう。かわいいですね。
働き蜂と同じく3日目までは同じくワーカーゼリーを与えられ、以降は花粉や蜜が混ざったものを与えられるようになるのですが、どうやらワーカーゼリーを与えられている孵化後3日程度の時点ですでに花粉や蜜の混入率が働き蜂に比べて多いようです。
ワーカーゼリーというか、ドローンゼリーとも呼ばれているそう。
働き蜂の方が良いものを食べてるってことかしら。

摂取期間とグレード

ところで一体どこから出してるの?

「授乳」といっても、乳房があるわけではありません。
頭部に「姉妹ミルク」を分泌する腺(下咽頭腺と大顎下腺の)があり、それを、大顎の内側にある腺(大顎腺基部の内側の閉口部)から溢れさせ、顎の先端部に集めて幼虫のいる巣房へと詰め込みます。
これらの腺は、姉妹ミルクを作らなくなったハチでは機能が退縮しているのですが、諸所の理由から再度生産する必要が出てくると、再活性化されるのだとか。
基本的には若いみつばちだけが作るけれど、必要になれば再度作れるようになるなんて、動物社会でもある現象で、なんだか親近感がわきますね。

ただし、外勤を経験した日本みつばちでは、作り出す成分に変化が起きているようです。西洋ミツバチは、外勤経験後もローヤルゼリーの中に含まれる主成分に変化が見られないのに対し、日本みつばちでは、日齢(分業)によって大顎腺成分に変化が起きているみたいですよ。

外勤を経ると変わる主成分

ローヤルゼリー特有の成分であると考えられている不飽和脂肪酸hydroxy-42-decenoic acid(10-HDAと略される)は、Royal Jelly Acid(ローヤルゼリー酸)とも呼ばれています。
外勤蜂化する前は、日本みつばちも西洋ミツバチも10-HDAと10-hydroxydecanoic Acid(10-HDAA)を主成分として生合成するのですが、外勤を担当するようになると、日本みつばちのローヤルゼリー主成分は10-HDAAとなり、10-HDA(ローヤルゼリー酸)は主成分というほどは作られなくなるのです(西洋ミツバチは、外勤蜂化しても主成分は変わりません)。(篠田雅人,中陳静男,1984松山 茂 , 鈴木 隆久 , 笹川 浩美,1998を参照)

 

今日はここまで

今回は、働き蜂の給餌という仕事を見ていきました。
若い蜂たちは蜜や花粉を食べてローヤルゼリーを作り出し、さらに若い妹たちを育てているのですね。
与えられる成分にも女王蜂か働き蜂か雄蜂なのかで違いがあったり、外勤を経験した高齢の蜂だと出せるローヤルゼリーの成分に違いがあったり。
給餌係と言っても、いろいろなことが起きていますね。
さて、給餌係の次はどんなお仕事が待っているのでしょう。
次回もどうぞお楽しみに。

 

参考文献・URL

山田養蜂場
http://honey.3838.com/lifestyle/tanjyou.html

松山 茂 , 鈴木 隆久 , 笹川 浩美,G125 ニホンミツバチApis cerana japonica Rad.の情報化学物質 : ローヤルゼリー中の遊離脂肪酸と働き蜂および女王蜂の大顎腺成分(生理活性物質),1998

http://ci.nii.ac.jp/els/contents110001089377.pdf?id=ART0001245890

篠田雅人,中陳静男,「ローヤルゼリー酸の生物化学」,1984
http://id.nii.ac.jp/1240/00000053/

はい、やっこです!!
http://cerana.blog.fc2.com/blog-entry-140.html

ローヤルゼリー効果効能.com
http://ローヤルゼリー効果効能.com/index.html

丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

 

みつばち社会〜働き蜂⑤最初の仕事は掃除と温め〜

先週のコラムで書いたように、働き蜂は生まれてからの日数(日齢)に応じて、仕事(役割)が変わっていきます。

それは、働き蜂の体が、日が経つにつれて発達(変化?)していき、体の変化に応じて「できること」と「できなくなること」ができてくるのです。蜜蜂が、何千年~何万年かけて今の状態に進化してきた過程の中で、みつばちの体も変化してきたのかもしれませんね。

(少しわかりにくい表現なのですが、例えば、生まれて3日~10日目くらいは、ローヤルゼリーを生産できるのですが、それ以降になると生産できなくなる。といったかんじ。詳細はおそらく次週のコラムに掲載されます。)

巣の中では、みんなそれぞれ仕事をしています。

今週からは、働き蜂たちの仕事について詳しく見ていこうと思います。

最初のお仕事。

羽化したばかりのみつばちたちは、まだ体もできておらず、できる仕事が限られています。そのなかで、羽化してから3日くらいまでの最初の仕事はお掃除です。
(文献やWEBによっては、5日までと書かれていることもあるので、だいたい3~5日くらいだと思います。)

働き蜂は、自分が蛹から羽化して出たあとの空の巣房などの中にある、蛹から脱皮した皮や巣蓋などを徹底的にきれいに掃除します。

そして、無事に掃除が終わった巣房には女王蜂が新しく卵を産み付けるます。掃除が終わっていない巣房には卵を産まないそうです。

ちなみにどうやって掃除するんでしょうね。
きっと頑張って、ぺろぺろとなめ続けるのかなと思います。
(詳細は文献などでも確認することはできず…)

もう一つのお仕事は蛹を温める

あと、実はあまり知られていないのですが、蛹を温めるという作業もしております。

幼虫を正常に発育させるためには、育児圏の温度を一定に保つことが大切なことなのです。そのため、蜂児の温度を保てるように、羽化して間もない若き働き蜂たちは、女王蜂が卵を産み付けていない空の巣房の中に入って発熱して隣の巣房にいる蛹を温めてあげたり、育児圏の巣蓋の上に数匹が集まって発熱して温めたりしてるそうです。

蜂児たちと巣房

きっとこういう穴の隙間に入って温めているのだと。

この発熱方法は、みつばち特融の方法であり、みつばちの翅の付け根の胸部にある飛翔筋という筋肉を震わせ、エネルギーが発生して、それが熱に変わるそうです。ちなみに、このときは、一時的に飛翔筋を翅から外すので、羽ばたかないそうです。
(人間に例えると、とてもムキムキの人が、ただひたすら胸筋だけを動かしづつけると、そこから熱が発生するというようなイメージですね。)

「翅から外す」とはよくわからないと思いますが、参考にしている文献では、『翅は、飛翔筋に直接つながっておらず、外すことができます。』と書かれています。下図は参考文献を基に作成。
そして、ちなみに昆虫が飛ぶときに使う筋肉は、この飛翔筋と呼ばれるそうで、トンボやチョウなどは羽を筋肉で直接駆動させる『直接飛翔筋駆動』であり、ハチやハエなどは筋肉で胸部外骨格を振動させ間接的に羽を駆動させる『間接飛翔筋駆動』だそうです。

みつばちの飛翔筋

みつばちの断面図

そして、この熱を発生させる方法は、冬越しの時などに行われることで、また、いつかのコラムで詳しく書きますね。

ということで

今週はここまで。羽化から3日くらいまでの働き蜂のお仕事について書きました。そこから派生して、飛翔筋というマニアックな筋肉のことも学ぶことができました。
次回はまた別のお仕事を紹介します。

※みつばちの日数や行動内容については、参考文献やWEBサイトによって詳細は異なってきます。このコラムは、あくまで私自身が調べて、自分で納得のいく内容をまとめて作成しております。

参考文献
フォーガス・チャドウィック、2017、『ミツバチの教科書』、株式会社エクスナレッジ
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版ミツバチの一生:http://www.008720.com/mitubacilife.html
ミツバチの生態:http://mitubachi2012.web.fc2.com/page2-8.html

 

みつばち視察〜東近江市編〜

8月1日の朝来市での視察を終えて、次に向かったのは滋賀県東近江市。
(みつばち視察~朝来市編~はこちら

ということで、視察から1ヵ月過ぎてしまましたが、みつばち視察2日目、東近江市編のレポートです。

滋賀県東近江市で日本みつばちを飼っているのは、はちみつ・みつばち大好きの比嘉さん。約1年前に、大阪駅近くのはっちというはちみつとフリーペーパーのお店で、はっちのメンバーである比嘉さんが主催したみつばちイベントに参加して出会いました。

その後もUmekikiMarcheなどでお世話になりまして、みつばちの現場を見に行きたいですという話をしていたのが、やっと今回実現しました。

 

東近江市愛東地区にある百済寺というお寺の敷地内で、日本みつばちを飼っているということで、案内していただきました。

百済寺は、今から約1400年前に聖徳太子が百済人のために建てたと言われている、とても歴史あるお寺なのです。立派なお寺やお庭をその歴史を踏まえて案内していただいたのですが、写真を撮るのを忘れておりました。

巣箱が置いてある場所へ向かうと、「ごうら」と「重箱式」の2つの巣箱。

「ごうら」は初めて見ました!!ちょっと感動。

「ごうら」は丸太の中をくりぬいて作る巣箱で、日本でもっとも古くから使われている巣箱だと言われています。

日本みつばち

 

ごうらの巣箱

ごうらの巣箱

ごうらの巣箱

小さな入り口からはたくさんのミツバチが行き来していました。

さらに、写真ではわかりにくいかもしれませんが、ここには自然巣もありました。
実は1枚目の写真の真ん中の木(重箱巣箱の右)の洞のところで、みつばちたちが行き来しているのです。木の洞にできている自然巣は始めてい見たので、またまた感動。

木の洞にできた自然巣

 

また、みつばちを通じた環境学習などの取り組みについても教えていただきました。
現在、比嘉さんは、幻の銘酒『百済寺樽』復活プロジェクトを進めており、こちらのプロジェクトにも注目です。

 

これで、今回の2日間の視察は終了。
とても勉強になった2日間でした。

みつばち視察〜朝来市編〜

8月1日~2日にかけての二日間。
兵庫県朝来市と滋賀県東近江市に行き、養蜂に取り組んでいる同年代の方に会いに行ってきました。同年代って少ないので、なんだかうれしいのです。

ということで、朝来市編。

朝来市山東町与布土地区で様々な取り組みをしている西村さん。
そのなかの一つが「与布土みつばちプロジェクト」。
(与布土みつばちプロジェクトのFBページはこちら

まずは、最初に、地域自治協議会の建物へ。
朝来市のこと、与布土のこと、西村さんの取り組みのことなどお話を聞き、そして、養蜂を始めたきっかけやどうやって養蜂ができる場所を見つけたのかなどのご質問もさせていただきました。

そして、午後から現場へ。

山際の段々畑になっている不耕作地を活用して、ヘアリーベッチやひまわりを植えて蜜源づくりに取り組んでいます。このひまわりも一部は地元のこども園のこどもたちと一緒に植えたり、また、子供たちとみつばち観察をやったりと素敵な企画に取り組んでいます。

ヒマワリ畑

幹線道路で、車からはきれいなヒマワリ畑が見えます。

ひまわり畑の畦を歩いていると、ひまわりの花によって来るみつばちも。

ヒマワリとみつばち

ヒマワリ畑とセイヨウミツバチ

西村さんは、不耕作地と山の境目にセイヨウミツバチと日本みつばちの両方を飼っており、ほぼ独学で学び、蜂のことを見ながら、トライ&エラーの繰り返しだそうです。

日本みつばちの巣箱は山の木陰など、直接日が当たらないところに置くのですが、この場所は山の中にクマや猪がいるため、山の中に置けないということで、日本みつばちは単管パイプを組んで、日よけネットで囲われています。

養蜂

西村さんの養蜂現場

手作りの重箱式巣箱。今年の分蜂で捕まえたそうな。そして、朝来市は寒いので巣箱の木が厚いとか。

日本みつばちの巣箱

説明してくれる西村さん

そのあと、セイヨウミツバチの巣箱も見せていただきました。普段、日本みつばちしか見ない私にとって、セイヨウミツバチはとても新鮮で、そして、みつばちはやっぱり可愛い。見た目は、とても黄色くて、日本みつばちよりもちょっと大き目。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチの巣箱

セイヨウミツバチ

暑いので外に出ているそうです。

日本みつばちと比べて、セイヨウミツバチの方が攻撃的だと言われているのですが、この日はみつばちたちの機嫌がよかったということだそうで、覆面布や手袋をしなくて、そのままで持ち上げても大丈夫でした。

上には蜜で、下は子育て。はっきりとくっきりと分かれていました。ちょっとだけ巣のはちみつをそのままペロリとさせていただきました。

セイヨウミツバチ

養蜂っぽいこのかんじ

女王蜂も見せていただきました。わかりますかね、真ん中にいる少し大きめのシマシマのない蜂です。

セイヨウミツバチの女王蜂

真ん中の大きいのが女王蜂

 

ほんと、いろいろと勉強になりました。

西村さん、ご丁寧にいろんなことを教えていただき、本当にありがとうございました。
今後も情報交換や連携ができたらいいなって思って考え中です。

 

頑張って、東近江市編も書いていきます。

みつばち社会~女王蜂④卵を産む〜

さて、今回は女王蜂の重要な仕事「産卵」について見ていきましょう。

前回のコラムで、女王は自身の分泌するフェロモンによって、
群れの他の雌蜂である働き蜂の生殖や産卵を抑制し、
働き蜂としての労働を促すことについて少し触れました。
みつばち社会では基本的に女王だけが卵を産み、群れを大きくする仕事に従事します。

一体どれくらい産んでるの?

女王蜂は、巣房1つにつき1つの卵をせっせと産んでいきます。
その数、1日1000個から2000個。
大きさは約5.5mm、体重に等しい重量の卵を1分間に1〜2個産み続けているという。
人間でいえば1日20人の子供を一夏中産み続けるようなものだそうな。ううむ。

みつばちの卵

見事なハニカム構造と卵

巣房のサイズが産み分けを決める

毎日たくさん産みつけられ、育児係に世話され育っていくみつばちたち。
その大半は働き蜂=メス。
そして生殖のみを担うオスの蜂は群れに10%程度。
この産み分けはどのようにして行われているのかというと、
体(貯精嚢)に蓄えた精子を使うか、使わないかの調整によって行われるのです。
みつばちは、精子を使わない無精卵ではオスが生まれ、有精卵ではメスが生まれる。
そして精子を使う・使わないというのは巣房のサイズによってコントロールされている。
小さめサイズの巣房(約4.7mm)には、女王蜂が腰を曲げるようにして産みつけ、
大きめサイズの巣房(約5.4mm)には、腰を曲げることなく産みつける。
この、小さな巣房=腰を曲げた方には有精卵(メス)、大きな巣房には無精卵(オス)が生まれることになる。

オスの方が体が大きいため、羽化前の上蓋も膨らんでいる。上蓋が平たい方がメスの巣房。

お付きの者たちによる産卵補助

巣房のサイズによって、産みつける卵の精子の有無が変わり、性別が変わる日本みつばち。
その群れの成員を決定する重要なポイントは巣房のサイズ、
そしてそれを作る作業に従事しているのは働き蜂というわけで、
じわじわと「女王といっても結局のところ、働き蜂にコントロールされておるのでは…」という感じがしているのは私だけではないのでは。
さて、生殖のための飛行の際、お付きの者たちに付き添われていた女王蜂ですが、
巣房に産みつける際にも世話係の働き蜂たちが活躍します。
女王は産卵時、巣房に下半身の先端を差し入れます。
その際、お付きの働き蜂たちは、女王が巣房へと正確に差し入れることができるように、サポートするのです。

「オーライ、オーライ!ストーップ!」という感じか?(Jurgen、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』p144を参考に作成)

サポートというと聞こえは良いけれど、
働き蜂に管理されていると言えなくもないような気も。

Jurgen(2010)には、

もし小さな直径の巣房にあたれば雌の個体に育つ受精卵を生み,もし大きな直径の巣房を見つけると雄蜂に育つ未受精卵を産む.数少ない精子の卵への接近を許すか,これを妨げるか調整できる女王バチの正規の仕組みは非常に精度が高いに違いない.しかし,子孫の性を決定しているのは女王バチではなく,それに対する決定は集団が行っている.女王バチは単なる実行器官である.

なんて言われたりしています。

卵巣の数が少ない日本みつばちの女王

日本みつばちの女王蜂の卵巣小菅数(左右に存在する卵巣の合計)は約135本、
一方セイヨウミツバチの女王蜂は約275本。
なんと倍近くの開きがあるわけですね。
この卵巣の数は、産卵数の多さを示しており、
日本みつばちよりもセイヨウミツバチの女王バチの方が産卵数が多いことを示しているのだそう。
また、群れのサイズの違いも、これに起因していると考えられているそうですよ。

ということで

今回は女王蜂の産卵について見ていきました。
生涯せっせと卵を産み続ける女王蜂に、フォローするお付きの働き蜂。
生殖の際にも感じましたが、女王蜂とお供の蜂たちの関係はなんだかとっても人間臭い。
もちろん人とはいろいろ違うんだけど、
一族の繁栄のためにトップ(女王)も補佐役(お付きの働き蜂)も一生懸命なところを見ているとなんだかドラマを感じてしまう筆者なのでした。

参考文献
吉田忠晴、2000、『ニホンミツバチの飼育法と生態』、玉川大学出版部
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

みつばち社会~女王蜂③フェロモンでメロメロ~

今回は、女王蜂のフェロモンのお話。

以前、みつばちコラムで、みつばちは「社会性昆虫」であるというお話を書きました。
みつばちたちの社会では、1つの集団を作り、女王蜂が1匹、働き蜂が数千〜数万、生殖の時期には雄蜂が2,000~3,000匹が、階級社会の形成して、維持しているという社会です。これはみつばちのカーストとも呼ばれます。(詳しくは日本みつばちの社会〜プロローグ〜を参照)

この社会を形成して、維持できているのは、女王蜂の大顎線(おおあごせん)というところから分泌される「9-オキソデン酸」を主成分とする女王物質と呼ばれるフェロモンがあるからなのです。

9-オキソデセン酸

学者さんの世界ではこのように示されるそうです。私には、何が何なのか全くわかりません。

 

フェロモンによる影響

この女王物質が働き蜂と雄蜂にそれぞれとても大きな影響を与えます。

働き蜂にはこんな効果が。

●働き蜂の卵巣の発達を抑制する
働き蜂もメスなので卵を産むことができます。ただ、この女王物質によって、卵を産むことができない状態になっています。そして、働き蜂としての労働を促すのだと。
(実は、働き蜂も卵を産む機会があるので、またそれは別の機会にご説明します。)

●王台を作らせないようにする
女王蜂自身が、「私はまだまだ元気だから、新しい女王はいらないよ。」っていうことで。まだ新女王のため王台を作らせないのです。逆に言えば、それは、今の女王がいる群れが安泰っていうことを示しています。

雄蜂には

前回のコラムで書いた空中で雄蜂と交尾に出かけた際に、雄蜂を引き寄せるためのにおい物質として発散して、雄蜂を誘引するための性フェロモンとしての機能もあるそうです。

 

フェロモンはどうやって伝わるの??

女王蜂は常に、たくさんのお付きのみつばちたちに囲まれて暮らしています。そのお付きのみつばちたちが女王の体をなめて、触覚で触れて、女王物質であるフェロモンを受け取ります。

その後、女王フェロモンのついた働き蜂たちが、ほかの働き蜂たちと口移しで蜜を交換したり、接触することで、働き蜂全体にフェロモンが広がっていきます。フェロモンが行き渡ることで、女王蜂の存在やその状態についての情報が伝わっていくのです。

フェロモンの効き目が…

女王蜂も年老いていくと、女王物質が分泌量が少なくなったり、分泌できなくなったりなっていきます。そうなれば、実は、群れのなかでは一大事なのです。

働き蜂たちは女王フェロモンの魔法が解けるのです。魔法が解けた働き蜂たちは、卵の数が少ないことに気づき、このままでは群れ全体が存続の危機であるということに気づくのです。そして、新しい女王を迎えるための王台を作り始めるのです。新しい女王が生まれれば、今いる年老いた女王は追い出されてしまいます…。

また、群が大きくなり過ぎると、群れ全体に女王物質がいきわたらないことがあります。その時もまた、新しい王台ができて、新女王が生まれる前に、現女王は働き蜂を半分連れて、自ら巣を離れていくのです。(分蜂についてはこちら

 

※参考 女王物質(フェロモン)とローヤルゼリーの関係
このページによると、働き蜂が作るローヤルゼリーの中には、女王物質の成分も含まれているということで、女王蜂が出した女王物質は、女王が食べる食事(ローヤルゼリー)を介して、また女王に返送されるということです。女王物質は、女王蜂と働き蜂の間でぐるぐると循環しているそうです。

参考URL:http://www.setsunan.ac.jp/~p-tennen/HTML-file/kenkyu/kenkyu-bottom1/kenkyu1.html

 

これで終わり

今日はフェロモンのお話でした。フェロモンって目に見えないし、どちらかといえば香りの世界が近いかなと思います。ただ、香りであっても、私たちには、みつばちの出しているフェロモンがどんなものなのか、っていうのは感じることはできません。本を片手に、WEBで調べながら、少しでもわかりやすくと思い書いていました。ただ、やっぱりどうしても文字が多くなってしまいます。なので、最後に自作のみつばちのイラストを載せてみました。(このコラムの内容とは関係ありません。)
はち

参考文献
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版
坂本文夫、2016、『ハチ博士のミツバチコラム』、京都ニホンミツバチ研究所

みつばち社会~女王蜂①女王の誕生~

先週はみつばちコラムが始まって以来、初めてのお休みをいただきました。
今週から復活です。どうぞよろしくお願い致します。

今回からみつばちたちの世界により深く、解像度を上げてみていきたいと思います。

ということで、まずは「女王蜂」から始めます。
何万匹もの蜂たちがいる群れの中で、たった1匹しかいない女王蜂。

そんな女王蜂について、誕生から始まり交尾、産卵、そして最後は?など。毎週少しずつ書いていきますね。今週は女王蜂の誕生について。ただ、今回は文字が多めです。なぜなら、女王蜂や王台、幼虫を見かける機会がほとんどないので、自分たちで写真を撮れないのです…。

女王蜂の誕生

以前、コラムで分蜂について書いたときに、分蜂の話の流れのままに女王蜂の誕生について書いていたということに気づきまして…。今回と内容が重なるところもありますが、こっちの方がより詳しく。

春~初夏にかけての繁殖期。
通常、みつばちの世界では、子孫を残すため、巣の中では働き蜂たちが新しい女王蜂を迎えるための準備が始まります。(これは巣箱の中でなくても、自然巣でも同じです。)

準備とは、巣の中で新しい女王蜂の子育てをするための場所を作るのです。それが巣の下部にできる赤い丸の穴が開いているように見えるところであり、王椀(おうわん)と呼ばれます。

(写真では巣箱を横に倒して写真を撮っているんためわかりにくいのですが、子育てや蜜を蓄える巣房(ハニカム構造の小部屋)は地面に対してほぼ水平にできていくのに対して、この女王蜂の特別な場所は下向き(地面に対してほぼ垂直)なのです。なぜでしょうね・・・?やっぱり特別な感じなのかも。)

日本みつばち 王椀

ここに女王蜂が卵を産み、働き蜂たちが女王に育てていきます。王椀に卵を産み付けられてから、働き蜂によって、増築され、蓋がされ、下の写真のようになります。

日本みつばち 王台

他とは違う突き出た巨大な個室が新女王蜂を育てる場所であり、王台(おうだい)と呼ばれます。いかにも、特別な場所って感じがしますね。(あと、王台と王椀の明確な言葉の違いはよくわかりませんでした…。全体的に王台って言われることが多いような。)

ちなみに王台は群れの状況によって、①分蜂王台、②換王王台、③変成王台の3種類の呼び名があるそうです。今回のような春に子孫を残すためにできる王台のことを①の分蜂王台と言い、自然王台とも言われます。(②換王王台、③変成王台については、女王蜂シリーズの別の機会にご紹介します。)

こちらは働き蜂たちの卵や幼虫が育つ巣房。巣房に蓋がされているだけです。

働き蜂の巣房

卵から羽化して女王蜂に

この蓋がされた部屋の中で、卵から幼虫、蛹を経て、羽化して女王蜂へと成長していくのですが、実は、この卵、産み付けられた段階では、働き蜂と同じ卵(有精卵)だそうです。働き蜂も女王蜂も同じメスですからね。(オスは無精卵なのです。オスについてはまたの機会に。)

そこから、女王蜂になるために必要なものがローヤルゼリーです。
(ローヤルゼリーについては、健康食品などよく目にすると思いますが、その通りですごい栄養価の高いものです。今回はローヤルゼリーの説明はざっくりとこれで終わり。)

働き蜂たちが新しい女王のために、自分の体からローヤルゼリーを作り出し、女王蜂の幼虫にローヤルゼリーだけを与え続けるのです。卵から15日。王台の蓋を破り、女王蜂が誕生します。そして、誕生した女王蜂このローヤルゼリーだけを食べ続けることで寿命も長くなるのです。

ちなみに、働き蜂たちも幼虫の間、生まれてから3日間はローヤルゼリーと似たワーカーゼリーというものを与えられ、4日目以降は花粉や蜜を与えられ働き蜂に育って行きます。このワーカーゼリーは働き蜂の幼虫のためのご飯で、ローヤルゼリーとは成分や濃度が少し違っており、ローヤルゼリーに比べて栄養価の低いと言われています。

ローヤルゼリーとワーカーゼリー。
この食事の違いで、女王になるか、働き蜂になるかっていうのが決まります。

(個人的に、ローヤルゼリーとワーカーゼリーっていうネーミングで大きな格差を感じます。)

人工王台やローヤルゼリーの生産

働き蜂たちが、女王蜂の卵は特別な場所で育てるということ、女王蜂も働き蜂も同じ有精卵であるということ、女王蜂の幼虫のために働き蜂がローヤルゼリーを与えるという習性を活かして、養蜂の世界(セイヨウミツバチの養蜂)では、人工的に女王蜂を増やしたり、ローヤルゼリーを生産したりというを行っています。

私はあまり詳しくないのですが、いろいろ調べて結果、女王蜂を増やす方法はざっくりとこんなかんじらしいです。(間違ってたらすいません)
1)木の板にプラスチックの人工王台をつける。(移虫枠と言うそうです)
2)人工王台の中に、少しのローヤルゼリーと生まれたての幼虫を入れる。
3)女王蜂がいない状態にした巣箱(無王群)の中に移虫枠を入れる。
4)無王群の中の働き蜂たちが、この人工王台の幼虫を新しい女王蜂だと思って、ローヤルゼリーを与え、せっせと育てくれる。10日くらい経過すると、人工王台のなかで女王蜂の幼虫が蛹にまで育つ。
6)移虫枠から蛹まで育った王台を取り外し、準備しておいた別の巣箱(無王群)に取り付ける。(分け出しと言うそうです)
7)巣の中で新しい女王が誕生し、交尾へ。

人工王台

イメージ画像( 画像引用先:養蜂家向け養蜂マニュアル(農林水産省HP)より作成)

※参考にしたのはこれらの養蜂家さんのブログ
北のみつ蜂便り:http://naruse-bee.jp/php/freo/index.php/view/110
小森養蜂場のみつばち日記:http://komoribee.blog.fc2.com/blog-entry-174.html
太田養蜂場みつばち徒然ブログ:http://www.xn--h9jg5a3dt05yd2yb.com/category5/beeincrease.html

養蜂の世界ではこのように女王蜂を増やすそうです。参考にしていた農林水産省のHPにある養蜂マニュアルのChapter1は「女王蜂の作成法」というタイトルでちょっとびっくりでした。

私たちのやっている日本みつばちの養蜂は、ほぼ自然任せなのところがあるので、本格的な養蜂のことを知らなかった…。私自身、実は養蜂業界のことや常識をほとんどしりません。
養蜂業として、セイヨウミツバチをたくさん飼っている場合、常に自然任せっていうのは難しいのかもしれません。

今回は、

生まれる前から女王になるべく特別な場所が準備され、特別な食事が用意される女王蜂の誕生について書いてみました。ただ、実は、女王蜂も働き蜂と卵は同じであり、ローヤルゼリーとワーカーゼリーの差によって、女王になるか、働き蜂になるのかということで。

そして、働き蜂たちの習性を活かした女王蜂の生み出し方。びっくりしたと同時に、人間とはすごいことを考えつくものなんだなということを感じました。

さてさて、次回からも女王蜂の行動などについて書いていきます。

 

ゆきお

参考文献:
吉田忠晴、2000、『ニホンミツバチの飼育法と生態』、玉川大学出版部
丸野内棣訳、2010、『ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く』、丸善出版

蜂球のなか。

実は、昨日の午前中も分蜂群を目の当たりにしまして。
蜂の数と勢いに圧倒されました。
そんなこんなで、今回も分蜂について書いていきます。

前回のブログでは、分蜂した群れが、巣箱に入っていく状態であったのですが、今回は、分蜂した直後で、蜂球を作るときの様子です。

 

分蜂の直前

朝から巣のまわりでは、たくさんの働き蜂やオスバチがブーンブーンと巣の近くを行き来しています。

(その時の写真は撮り忘れ)

 

この分蜂の予行練習を何度か繰り返えすそうで。
待っている方は、ドキドキしながら、「いつでるのまだ?」って感じで見守ります。

いよいよ飛び立つ

そこから、数分後。

みんなが一斉に空に飛び立って行きます。

(この瞬間を見逃してしまいまして…。あと10分、その場に残っていれば見れたのに…。耐えられず、農作業に行きまして…。残念。)

そして、空が

帰ってきたら、空がとても賑やかに。

上空は、たくさんのみつばちたち。

分蜂した空

これすべて蜂です

ぐるぐると遠くに行くわけではなく、近くを旋回しています。

 

近くの木の枝に

しばらくしたら、近くにあった木の枝に蜂たちが集まってきました。

きっと、ここに女王蜂が止まったのでしょう。

女王蜂が止まったところに働き蜂たちが集まってきて、球を作ってきます。

分蜂した空

 

動画はこちら

 

蜂球

そして、数分で、どんどん分蜂した群れが集まってきて、球がどんどん大きくなってきました。ある程度集まるとみつばちたちも落ち着いてきてきました。

 

分蜂蜂球

 

近づいても、はちたちは何もしてきません。
気にも留めてくれません。

 

やってみたかったこと

近くに低めの木に蜂球ができまして、こんなチャンスはめったにない。

分蜂した木

 

ということで、一度はやってみたかったことを。

蜂球の中に、指をいれてみたいということ。

(前回も少し書きましたが、)
分蜂をしたときのみつばちたち、いつ新居が決まるかわからないということもあり、お腹ににたくさんの蜜を抱えています。そのため、よほどのことがない限り、刺されることはありません。

ドキドキしながら、いざ!!

分蜂 触る

暖かい!!
そして、蜂たちがブルブルとした振動が伝わってきます。

ついてきた蜂たち

ぶら下がって、なかなか離れない。おとなしくかわいいみつばちたち。

ゆっくりと元の場所に戻してあげます。

ドキドキしましたが、何事もなく。

分蜂 触る

ようこも指を入れまして。
うちの猫を触っているみたいという感想で。

 

ということで、

今日は分蜂をより近くで体験。

みつばちたちは人間のことはあまり気にも留めずという感じでしょうかね。

ただ、今回は無事でしたが、必ずしも安全とはいません。
私事ではありますが、この後、いろいろありましてみつばちさんに下唇を刺されました。
今は唇がパンパンです。

試すときは、くれぐれもご注意下さい。

ちなみに、元々いた巣から離れて分蜂についていった働き蜂が、元の巣箱に戻ろうとすると、元の巣の入り口で門番のみつばちたちに殺されてしまうそうです。

「もうあいつらは出ていったから、別の群れだ!!やっちまえー!!」
みたいな。

そういう現場も何度か目の当たりにしております。

直前まで、一緒に暮らしていた仲間なんだから、入れてあげてもいいのにねー。
というか、どうやって見分けているんだろうって思います。

分蜂群がそのまま巣箱に!

分蜂シーズンも終盤になってきました。

毎日、いろんな山を行ったり来たりというのもひと段落。

そんななか、先日、
分蜂群が巣箱に入っていく瞬間に立ち会うことができました。

最初、山に見回りに行ったとき、
置いている空の巣箱のまわりには、いつもより多めの偵察隊のみつばちたち。
行ったり来たりで、巣箱の中をみていました。

 

そして、しばらくしたら、
突然、偵察のみつばちたちが全くいなくなってしまったのです。

偵察だけして、別のところに行ったのかな?とか
ちょっとがっかりしつつも。

 

その後、しばらく様子を見ていると。

上空から「ブーン」「ブーン」という大きな音が。

ふと、空を見上げると、たくさんのみつばち

そのまま数分で、みつばちたちの群れは巣箱に吸い込まれていきました。

 

 

初めて分蜂した群れが巣に入っていく瞬間をこの目で見ることができました。

私たち2人は「すげー」としか言葉が出なかったです。

はちみつとボツリヌス菌(後編)

自然界最強を誇るボツリヌス菌、今回はその後編をお届けします。

地上最強の菌、ボツリヌス

乳児以外は大丈夫?乳児はなぜ罹る?

はちみつを1歳未満の乳児が食べないように、いろいろな所に注意書きがあります。
しかし、乳児以外は食べても大丈夫なのでしょうか?

食べてもいいの?

実は、ボツリヌス菌による中毒症状は、症状の現れ方や経過によって、

食餌性ボツリヌス症(食中毒)」、
創傷ボツリヌス症」、
乳児ボツリヌス症」、
成人腸管定着型ボツリヌス症」の5つに分けられるそう。

名前から想像できるように、はちみつなどを介してボツリヌス菌を乳児が摂取した際に発症するのが「乳児ボツリヌス症」です。
また、乳児でなくとも、ボツリヌス菌の産出した毒素に汚染された食べ物を摂取することで発症したり、傷口から菌が侵入し、皮下組織で増殖・毒素を産出することで中毒症状は起こります。

では、はちみつを食べると必ず中毒症状が起きるのか?
答えは「その場合もあるが、健常な小児及び成人であれば中毒症状は起こらない」というのが正しいでしょう。
その理由を端的に言えば、腸内細菌の働きにあります。
通常、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)が健常に保たれていれば、芽胞が混入したものを食べても、芽胞の発芽や増殖を防ぐことができ、毒素の産出も防ぐことができます(ただし、すでに芽胞の状態ではなく、菌として毒素を産出している段階のものを食べた場合には防げません)。

腸内フローラ(『もやしもん1巻』より)

しかし、乳児ボツリヌス症と腸管定着型ボツリヌス症のように、腸内細菌のバランス形成が未発達な乳児や、小児や成人であっても外科手術や抗菌薬の投与などで腸内細菌の破壊や菌交代などが起こっている場合には、ボツリヌス菌の芽胞が発芽し毒素の産出が起こる場合があるのだそう。

どんな症状が出るの?

ボツリヌス菌の算出する毒素は、神経機能に作用し、弛緩性麻痺を起こす働きを持つ。
それによって、嚥下困難や呼吸麻痺などを引き起こし、最悪の場合死亡することもあるのだとか。。。

国立感染症研究所 感染症情報センターによると、

食餌性ボツリヌス症:いわゆるボツリヌス食中毒であり、ボツリヌス毒素に汚染された食品を摂取することによって発病する。多くの患者は初期症状で視力の低下、瞳孔散大、複視、眼瞼下垂、対光反射低下などの視覚異常を訴えるとともに、口内の渇き、嗄声、腹部の膨満感、吐き気、嘔吐、歩行異常、嚥下困難、便秘、全身の筋弛緩などの症状を呈する。重症の場合は呼吸筋の麻痺による呼吸不全で致命的となる。原因食品の摂取から発病までの時間は摂取された毒素の量と型によるが、数時間~2日程度である。強力な毒素が原因であるため致死率は他の食中毒に比べてかなり高い(10~20%)。

乳児ボツリヌス症:生後1歳未満の乳児が芽胞を経口摂取することによって、腸管内でボツリヌス菌の発芽・増殖がおこり、産生された毒素によって発症する感染型の疾患である。1歳未満の乳児が発症するのは、腸内細菌叢が成人とは異なりボツリヌス菌の定着と増殖がおこりやすいためと考えられている。症状は便秘傾向にはじまり、全身の筋力低下をきたす。泣き声や乳を吸う力が弱まり、頸部筋肉の弛緩によって頭部を支えられなくなる。顔面は無表情になり、散瞳、眼瞼下垂、対光反射の緩慢などボツリヌス食中毒と同様な症状が現れる。呼吸障害が生じ重症化すると死に至ることもあるが、乳児ボツリヌス症の致死率は食中毒に比べると低く2%程度である。

創傷ボツリヌス症:患者の創傷部位でボツリヌス菌の芽胞が発芽し、産生された毒素により中毒症状がおきる。米国では麻薬常用者の注射痕からボツリヌス菌の感染がおきた例などがしばしば報告されている(MMWR 52: 885-886, 2003)。

成人腸管定着ボツリヌス症:1歳以上の子供と成人でも乳児ボツリヌス症と同様に、腸管内でボツリヌス菌が定着、増殖して発病することが報告されている。発症は外科手術や抗菌薬の投与によって患者の腸内細菌叢の破壊や菌交代現象がおこっている場合に限られる。

(出典:国立感染症研究所 感染症情報センター、「ボツリヌス症 2008年1月現在」

それぞれ、こんな症状が出るものみたいですね。

 

日本ではちみつを媒介とした感染事例

日本では、1986年に国内初の「乳児ボツリヌス症」が確認されたりしているようです。
乳児ボツリヌス症は、1990年までははちみつを原因とするものが大半だったものの、乳児がはちみつを摂取することの危険性が徐々に周知されていき、以降は、ほぼ、はちみつ以外の感染ルートによるものになっているようです。
乳児ボツリヌス症の発生件数自体は、1984年〜2008年の間に24件。
そのうち、2005年以降は毎年2件づつの発生にとどまっているのだとか。
(アメリカの場合は年間約100件発症し、そのうち7割が乳児ボツリヌス症であることを思うと、日本では発生は稀だと言えますね)

はちみつ以外の感染ルートだと、1984年に熊本県で製造された辛子蓮根でボツリヌス菌が増殖していて大事件になったりしています(食餌性ボツリヌス症)。

辛子蓮根を製造する際、殺菌しきれなかった菌が、密封された環境の中で増殖した事例

また、創傷ボツリヌ症と成人腸管ボツリヌス症は日本での発症事例は確認されていないようです。

医療現場でも使われるボツリヌス菌

そんな恐ろしいボツリヌス菌ですが、その特徴を把握し、利活用しようというのが医学・科学の世界。

例えば、美容外科で見かけることもある、ボツリヌス毒素の注射(ボトックス注射)。
ボツリヌス菌そのものを注射するのではなく、ボツリヌス菌がつくるタンパク質(ボツリヌストキシン)を薬として使えるように加工したものを注射します。
本格的に医学で応用され始めたのは1980年代ということで、もう40年近くになるわけですね。
ボツリヌス毒素の持つ、筋肉の神経に作用し麻痺させ弛緩させる特性を利用し、過剰な緊張によって固くなってしまった筋肉を柔らかく動かしやすくする効果や、皺取り効果などが期待出来るのだそう。

(漫画「もやしもん」では樹教授がボトックス注射でつるつる卵肌になってましたね。。)

ということで

さて、知れば知るほど恐ろしいボツリヌス菌。
だけど日常の中で感染する恐れはとっても稀なもののようです。

どこにでもいて、好むと好まざるとに関わらず人類と密接な付き合いをしてきた菌たち。
時には彼らの働きに注意し、時には恵みを享受して、彼らとうまく付き合っていきたいな。
今回はそんなボツリヌス菌の話、後編でした。

参考文献及びURL
・石川雅之、『もやしもん』
・ECOLAB http://ja-jp.ecolab.com
・外務省、「UNSCOM/UNMOVIC報告による主なイラクの大量破壊兵器疑惑」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/gunso/pdfs/iraq.pdf

・輝城会 沼田クリニック http://kijoukai-gr.jp/nc/knowledge/botox.html
・国立感染症研究所 感染症情報センター、「ボツリヌス症 2008年1月現在」 http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/336/tpc336-j.html
「ボツリヌス菌毒素の構造と作用」http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/336/dj3361.html
・国立感染症研究所 レファレンス委員会 地方衛生研究所全国協議会、「ボツリヌス症」、2012 http://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/botulism121207.pdf

・内村眞佐子、三瓶憲一、小岩井健司、矢崎広久(1987)「乳児ボツリヌス症の原因食品に関する調査」、千葉県衛研報告第11号 http://www.pref.chiba.lg.jp/eiken/eiseikenkyuu/kennkyuuhoukoku/documents/11-p39.pdf
・役に立つ薬の情報~専門薬学 http://kusuri-jouhou.com/microbe/saikin.html
・山口県感染症情報センター http://kanpoken.pref.yamaguchi.lg.jp/jyoho/page5/syoudoku_4-8.html

分蜂!!それは「巣別れ」ともいいます。  

初春~初夏にかけて、巣箱の中から女王蜂と約半数の働き蜂が新しい住処を求めて出ていくことがあります。このことを「巣別れ」「分蜂(分封)」と言います。

一体何が起きているのか?

巣の中では、みつばちたちが子孫反映のために、春になると巣箱の中では新しい女王蜂を迎えるための準備が始まり、王台と呼ばれる女王蜂専用の特別な巣房が作られていきます。
(このなかで、女王蜂の幼虫は栄養価の高いローヤルゼリーを与えられて育てられます。)

日本みつばち 王台

他の六角形の巣房と比べて、明らかに大きい。

 

王台の数は、群れの規模によっても変わるようですが、数個~十数個できるそうな。
王椀と呼ばれる女王蜂を育てるための場所なのです。

日本みつばち 王台

この写真は王椀。

 

ただ、1つの群れに、女王蜂は1匹

みつばちの世界では、1つの群れの中では、女王蜂は1匹しか生息することができません。

そのため、新しい女王蜂が生まれる直前に、これまで巣の中にいた母女王蜂は、これから生まれてくる新しい娘女王蜂に、今の巣を譲り、母女王蜂は新天地を求めて、約半数の働き蜂と共に飛び立っていくのです。この現象が「分蜂」です。

 

分蜂して出ていった群れは、

一旦、巣箱の近くの太い木の枝などに蜂球と呼ばれる塊を作って集合し、ある程度の時間を過ごします。

日本みつばち 分蜂蜂球

これが蜂球、みつばちだけでできています

 

なぜこの状態で

集合しているのかというと、この時点では、まだ新しい住処が決まっておらず。この段階で、偵察隊の働き蜂が新しい住処となる場所を探しに出かけており、残った働き蜂と女王蜂が蜂球の状態で待っている状態なのです。(正確には、分蜂前の元の巣にいたときから、偵察隊は新しい住処を探しに出かけています。)

ちなみに、分蜂した働き蜂たちはいつ新居が決まるかわからないということもあり、お腹にたっぷりと蜜を蓄えてて出ていきます。そのため、危害を加えなければ、刺されることはほとんどありません。

 

そして、気に入った良い新居が見つかったら、群れがその場所へ向けて、一斉に飛んで行きます。
近くに置いてある巣箱の中に居ついたり、もしくは、山の中や石碑の隙間などに自然巣を作ったりすることも。

この大移動を、直接この目で見たら、とてもびっくりするという話をよく聞きますが、実は私はまだ見たことがありません…。今年こそは見てみたい。

 

大きな群れの場合は、

分蜂から数日後に、王台から新女王蜂が誕生して、第二分蜂がはじまります。この場合も、同様に、姉女王蜂が約半数の働き蜂を引き連れて、新天地を求めて飛び立って行きます。その後、第三分蜂ってことも。

そして、残った王台は、分蜂しなくなった巣の中では、これ以上、女王蜂が生まれてこないように、巣の主となった新しい女王蜂や働き蜂によって、王台が壊されて、幼虫も抹殺されます。なんとも厳しい社会です。
(ちなみに、同時に女王蜂が生まれた場合は、どちらか一方が死ぬまでの、殺し合いになるそうな。)

 

実は、分蜂は働き蜂がコントロール?

春になり、暖かくなってくると巣の中では、働き蜂が育児や採餌・貯蜜など、働き蜂たちが活発に活動するようになります。そうすると、巣の中はいっぱいになり、手狭になってきます。そこで、働き蜂たちが、巣の中で新しい女王蜂が生まれるよう準備し、そして、分蜂させるようにコントロールしているとも言われています。

日本みつばちの養蜂家にとって

年に1度だけ。

唯一、この時期だけが、巣箱で飼う群数を増やすことができる時期なのです。
この時期にどれだけ蜂に入ってもらえるかで、これからの先の採蜜量などが決まってくる大切な時期なのです。

みつばちたちに巣箱に入ってもらえるように、頑張っているところです。

 

ということで、

今回は、今の時期しか見れない「分蜂」について。
田舎に住んでいる方なら、山の中やお家の中に巣箱を置いておいておいたら、もしかしたら、日本みつばちが新しい住処として居ついてくれるかもしれません。

梅薫る、立ち込める春

先日の暖かい日、
彼女たちもそろそろ飛び回っている頃かしらと
久しぶりに山を訪れました。

もうすっかり春の色

ちいさな青い花をたくさんつけている

春の香りに淡い梅の色、実る柑橘。
気持ちのいい風に弾む足取り。

甘い香りがふわり

近くには柑橘もあります

 

 

でも、なんだか違和感。
巣箱の前まで来てみても、まるで賑わいがない。
あれれ・・・?
しばらく巣箱を覗き込んでいるとやっと出てきた。

ちょこちょこと出てきた

確かに出てきた。
でも、やっぱり様子がおかしい。

地上を這うミツバチがたくさん

まだ少し寒かったのか、それともダニにやられて動けなくなってしまったのか。
最初に行ったこの山はすごく静かで
わずかに出てきている群れの子たちも地面を這うばかり。
先日、聞いたアカリンダニの寄生症状にピタリとハマる。
みんな、苦しいのだろうか。
なんだか怖くて、ちいさな体で地面を力なく歩く子たちを見ていると悲しくて
鼻の奥がツンとしてしまった。
ダニはみつばちの器官に寄生して、繁殖していく。
そして窒息させる。
羽をふるわせる力が弱まれば、群れの温度も維持できず凍死もある。
ダニに悪気はないけれど、当のみつばちは苦しいだろう。
想像すると可哀想で、何もしてやれないけど、ごめんよと思う。

指に乗せても大人しくしている

 

一旦、いちじくの枝を切る作業に勤しんでから、
夕方また別の山へ様子を恐る恐る見に行く。

彼女たちはどうしてるだろう、
これだけ暖かくて日当たりの良い日だからちょっとは喜ばしくしているのではないか、
「早く会いたい」と心が弾む一方、
春を迎えられずにみんな地面に落ちてしまっているのでは…と、
不安な気持ちもどんどん膨らんでいく。

山に入ると、枯葉と新緑を踏む軽快な音。

枯葉と新緑が一歩ごとにザクザク音を立てる

草木のいい香り。

そーっと巣箱の前にいって様子を見てみる。

1匹、2匹と、中から出てきては飛び立って、
蜜を集めてきては巣の中へと入っていく。
大勢ではない、でも静かに活動を始めている。
よかった。

「いたいたー」

でも、いくつか見て回っていると、もう活動をやめてしまったらしき群れもある。
あんなに元気だったのに、冬は大変な季節なんだと実感が湧く。

さらに奥に分け入って、
昨年お父さんが竹藪だったところを拓いて巣箱を置いた場所へ行ってみる。

まず飛び込んできたのは甘い香り、
赤や白の淡くも鮮やかな梅の花々。
そしてみつばちたちの可憐な羽音。

梅とみつばち

一面に香る鮮やかな梅の花

ここの群れたちは変わらず元気でいてくれた。
女王蜂が若い群れだからだろうか。
理由はいろいろあるのだろうけれど、
とにかくみんな元気で嬉しい。

日本みつばち

久しぶりだね

そして、昨年春には分からなかったこと。
梅の花がこの場所は大層きれいだってこと。
足元がふかふかで、耳をすますと生き物の声や動いている音があちこちからする。

耳をすますと生き物の音が聞こえてくる

ちょっと奥まっていて、
まるで秘密の花園、なんてワクワク。
いや、小さな頃にあちこちに作った秘密基地の方が気持ちとしては近いかな。

甘い香りとやわらかな花々が嬉しい

アカリンダニの急な広まりによって脅かされている日本みつばちとの暮らし。
もちろんアカリンダニだけが理由じゃないにしても、
みつばちたちが弱っているのを肌で感じて、率直に言うと結構驚いた。
秋に「また春に会えるね」としばし別れただけのはずが、
こんなにたくさんの群れのみつばちたちに会えなくなるなんて。
このちいさな生き物は今後どうなってしまうのだろう、そんな不安も感じるようになった。

そんなことを感じる、淡路島で初めて迎える春。
島は、少しづつみつばちたちが飛び交い始めています。

(ようこ)

蜂蜜って何?〜蜂蜜との出会い〜

蜂蜜との出会い

花の香りに、濃厚な舌触り、芳醇だけどしつこさのない蜂蜜に
今ではすっかり信頼を置いているものの、ちいさな頃は蜂蜜が苦手な子どもでした。
だから、家で焼くおやつのパンケーキには
バターとメープルシロップをたっぷりかけるのがお気に入り。
もちろん今でもバターとメープルシロップは大好きだけど、
季節によって、場所によって異なる蜂蜜をそーっとかけてパクリと頬張る幸せは
これまた格別、と思うようになりました。
私がはじめて蜂蜜を「美味しい」と感じたのは(そして苦手意識がクルッと変わったのは)、ユキオさんからもらった日本みつばちの蜂蜜を食べた時。

「好きな人にもらったからかな」とも思ったけれど、
きっとそれだけでじゃなくて、ユキオさんのお父さんがすっかり虜になって、
たいせつに関係を紡いでいるみつばちが作る自然な味わいが、本当に美味しかったのだと思います。

それからしばらくして、淡路島に初めて遊びに行きました。
友人も一緒に行ったので、後で「それでどっちの子が彼女なんだ?」と言われたそうだけど、ともかく日本みつばちに興味津々の私たちと友人で、お父さんが夢中になっているみつばちたちを見せてもらうことに。

森に入ると、みつばちたちは蜜を集めては戻ってきて、また飛びたってと元気いっぱい。
とても賑やか、ご機嫌さん。

巣箱をささっと掃除して、たくさん入っている巣箱から1段だけ分けてもらう。
ぶんぶんぶんと羽音を立てて、大勢がわーっと舞っている。

初めて見る採蜜作業、そしてユキオ父との初めての出会い

初めて見る巣箱、そして採蜜作業におっかなびっくりの私たち。
お父さんは淡々と、でもちょっと嬉しそうに作業していく。

森での作業が終わったら、今度は作業場で巣と蜂蜜を分ける。
箱から巣板を外して、ロウの蓋を取り、後は自然と蜜が垂れるのを待つ。

ロウの蓋を取る

お父さんが巣箱から巣蜜を取り出して蜜を濾す時に、
ひょいと一欠片食べさせてもらった時の衝撃も忘れがたい思い出。

とろーり

採ったばかりの巣蜜

暖かい季節、常温でほろ温い蜂蜜のふわぁ~っと香り立つ花の香りと
通り抜けるような芳醇で透き通った甘みが、ジュワーっと口の中に広がる。
「蜂蜜って、こんなにも真っ直ぐな味わいなのか」と思ったかどうか定かではありませんが、ただただ「おいしい…!」と驚いたことを覚えています。

ということで次回

さて、この蜂蜜はどうやって作られるものなのか、
次回は蜂蜜ができるまでをお伝えします。

「野生」のみつばちが居つく

前回のコラムで日本みつばちは「野生で生息しているみつばち」であるとお話しましたが、今回は「野生」なのに「飼育」しているというところをもう少し。

 

まず、「野生」とは?

動植物が山野に自然に成長・生育していること。

という意味だそうで。その反対は「飼育」「家畜」。

「野生」であれば自然界の中でも生きていけますが、「飼育」「家畜」であれば、人の手が届かないと生きていけないのです。

 

野生のみつばち

日本中のいたるところで生息しています。その場所は、木の洞(うろ)、石碑の隙間、コンクリートの隙間、家の屋根裏など。ある程度中が広い密閉空間で、かつ小さな入口があれば巣を作り、そこで営んでいるのです。

私も昨年夏、山奥の道路沿い、このコンクリートの隙間に出入りしているみつばちを見かけました。

 野生のみつばちの巣

 

他にも、近くの神社にある石碑

蜜蜂のいた石碑

この石碑の割れ目からもよくみつばちが出入りしています。
(※写真は冬に取ったので、みつばちはおりませんが。)

蜜蜂のいた石碑 蜜蜂のいた石碑  

 

自然界、人工物の隙間、どこでも生息して、生きていきますという感じです。
ここから、居を移して、山の中に引っ越しても、その自然の中で生きていけるみつばちなのです。

(一方のセイヨウミツバチは人間によって完全に「飼育」されないと、自然界では生きていけないみつばちなのです。)

 

野生のはちを飼うというよりは

日本みつばちを飼っているというよりは、彼らがその環境(巣箱)を気に入って、居ついてくれてるだけ。私たちはそのような感覚です。

日本みつばち

気に入らなければ突然どこかに引っ越しするし、時には、自然の力によって淘汰されて消滅することもあります。

ただ、彼らに来てもらうために、居ついてもらうために、なりゆきに任せるのではなく、彼らが気に入るような巣箱を作って、彼らが気に入りそうな場所に巣箱を設置する。そんな努力が必要です。
もちろん、居ついたあとは巣箱の掃除なども行い、日々、気にかけてあげることも大切。

(日本みつばちに来てもらうための方法はまたの機会に。)

春の分蜂(巣別れ)の時期に、みつばちたちにこの巣箱を選んでもらって、ここに住んでもらう。その場所が気に入れば、そこに住み着いてくれるのです。

そして、蜂蜜を分けてもらうことにもつながっていくのです。

 

ちなみに、うちの父親は

「あいつらはわしの子分や。わしが農作業しとるときに、働いとるんや。だから、掃除とか面倒見てやらなあかんのや。」

と言っておりました。

父親なりの愛情表現だと思います。

美味しい食べ方〜紅茶編〜

蜂蜜を販売しているとよく訊かれるのが
「紅茶に入れるならどの蜂蜜が合いますか?」  
ということ。

蜂蜜は採蜜する季節ごとに味わいが異なるもの。
春・夏・秋で随分変わるので同じ群れでもいろいろ楽しめちゃいます。

左から春採り・夏採り・秋採り

左から春採り・夏採り・秋採り

だから、季節の蜂蜜と紅茶の組み合わせって
いろんなバリエーションがありそうです。
ざっくり言えば、ミルクティーには秋採りの濃厚な蜂蜜、
春採りの蜂蜜は花の香りが明瞭なのでハーブティーにぴったり。

そんな風にお伝えすることが多いのですが、
もうひとつおすすめしたいのが紅茶の選び方。
「せっかく蜂蜜を入れて楽しむなら、紅茶は香りの穏やかなものがぴったり、らしい。」
そんなことを友人から聞いて試してみたところ、本当に美味しい。

「穏やかな味わいが蜂蜜に合うらしい」と友人がくれた。ミルクティー向きのセイロン・ルフナ(左)とチャイによく使われるシロニバリ(右)

紅茶の風味に、ミルクのまろやかさ、
蜂蜜の味わいがしっかりと合わさって素敵。
香りがしっかりとしている紅茶には、
傍に蜂蜜を置いて、スプーンで時々すくって食べるのも良い。

なーんて言いながら、香り立つチャイも美味しい。
チャイにぴったりの葉っぱに、もりもりスパイスを入れてグツグツ煮出す。

茶葉とスパイスの良い香り

スパイスと紅茶のいい香りが部屋中に広がる幸せなひと時。
あとは、牛乳を入れて温めて、仕上げに秋採りの蜂蜜をとろり。

秋採りの濃厚さ

やっぱりミルクティーには濃厚で芳醇な秋採りの蜂蜜を入れたい。
本当はこんな熱いものに蜂蜜を入れるのは…だけど、
豊かな味わいのチャイに、秋の蜜で一層膨らみが増すような気がする。
こんな寒い時期には、芯から温めてくれるスパイスの力が心強い。

さて、今回は紅茶との楽しみ方でした。
美味しい食べ方〜◯◯編〜、今後も時々やっていきます。
ところで、みんなはどんな風に使ってるんだろう?
「こんな使い方も美味しいよ」など、教えて頂ければ嬉しいです。
ではまた。

“日本みつばち”ってどんなはち??

ミツバチに種類があるなんてって思う方もいるかもしれませんが、ほかの動物や昆虫のように様々な種類のみつばちがいます。

日本に生息しているみつばち

日本に生息しているみつばちは、

日本みつばち(ニホンミツバチ)セイヨウミツバチの2種類だけ。

 

言葉の響きだけでいえば、

“ニホンタンポポ” と “セイヨウタンポポ”

“ニホンザリガニ” と “アメリカザリガニ”

こんなかんじですね。

(ただし、セイヨウタンポポやアメリカザリガニは「日本の戦略的外来種ワースト100」に定められており、日本中広がって、生態系などに影響を及ぼしている生物です。)

 

「ニホン」という名前がつけば、いかにも日本に昔からいる生き物
「セイヨウ」「アメリカ」という名前がつけば、海外からきた生き物
そんな、イメージが湧くと思います。

 

日本みつばちもその名の通り、昔から日本にいる在来種のみつばちであり、山の中や森の中、野生で生息しているみつばちです。
日本での養蜂の歴史は、「日本書紀」に養蜂に関する記述が残っており、ずっと昔から、日本人の営みと養蜂はつながっています。

 

一方、セイヨウミツバチは、日本には、明治時代に輸入され、全国的に養蜂家さんのなかで広がっていったみつばちです。養蜂家さんがしっかりと管理していることやスズメバチという天敵がいることなどから、野生で増えるということはありません。

 

そして、実は日本で流通しているはちみつのほとんどがセイヨウミツバチの蜂蜜なのです。

※セイヨウミツバチと日本みつばちの違い、歴史、日本の蜂蜜事情などは別のコラムに書こうと思います。

 

では、本題の日本みつばちについて

 

学術的には”ニホンミツバチ”

学術的には、日本みつばちは学術的にはトウヨウミツバチ(Apis cerana)の亜種であり、学名はニホンミツバチ(Apis cerana japonica)といいます。

ただ、私個人的には『ニホンミツバチ』と書くよりも、「日本みつばち」と書く方が暖かいかんじがするので、こっちで書くことが多いです。

また、地域によっては、「和蜂(わばち)」「山蜂(やまばち)」「大和みつばち(やまとみつばち)」などと呼ばれているそうです。

日本みつばち 系統

大まかな分類はこんなかんじ(なんとも難しい…)

野生のはち?でも、飼うことができるはち

日本みつばちは野生で山林の中にいることが多く、民家の屋根や石の割れ目などにも巣を作っていることもあります。また、先ほど書いたように、ずっと昔から日本では飼われていたそうです。

最近では、趣味で日本みつばちの養蜂をしてる方が増えてきており、個人養蜂家さんが全国にたくさんおります。DIYで巣箱を作って、気軽に楽しむことができます。
(ただし、都道府県に届け出が必要です)

ただ、そんな日本みつばちは、飼っているといいながらも突然逃亡して蜂の群れがいなくなったり、様々な害虫に攻められて巣箱を全滅させられたりと、野生に近いような世界です。

日本みつばち

たくさんのみつばち

 

小さくてモフモフ(見た目)

小さくて、胴の部分の縞々がはっきりしていて、どちらかといえば黒っぽいです。これは群れや季節によって違います。少しサイズが大きかったり、黄色が強かったり、黒っぽかったり様々です。
また、頭の部分はモフモフして、かわいいです。

ですが、かわいいからと言って、近づきすぎると刺されることもあります。私は何度か刺されております。

日本みつばち

見ての通り、モフモフと目がかわいい。

日本みつばち

通常時は刺しません。

 

彼らが作るはちみつ

1匹の働き蜂が一生の間に集める量は、ティースプーン1杯分と言われています。毎日毎日、たくさんの花から蜜や花粉を集めて、巣に持ち帰ります。

季節ごとの様々な花や樹木から蜜を集めてくるため、日本みつばちの蜜は百花蜜と呼ばれています。集めてきた蜜は巣の中でじっくりと熟成され、風味豊かで濃厚な蜂蜜になります。

1 つの群れが蜂蜜を取れるようになるまで、2 年以上はかかり、1 つの群れからは年間1 ~ 2 度しか取れません。採蜜する季節によって、色や味わい、風味が違ってくるのも特徴です。

日本みつばち蜂蜜

で、お店で見かけないのは?

ただ、日本みつばちの蜂蜜は、市場に出回ることはほとんどありません。
そのため、お店で見かけることはほとんどありません。

先ほどお話ししたような野生に近い世界なので、群れがいれば必ず蜂蜜が採れるというわけではないということ。そして、日本みつばちはセイヨウミツバチと比べて、約1/10程度しか蜂蜜を作ることができないことにあります。これらの理由で、採れる蜜の量がとても少ないのです。
そのため、「幻のはちみつ」と言われることもあります。

 

最後に

ということで、今回は”日本みつばち”についての概要をお伝えしました。

今後はそれぞれのことを少しマニアックに、かつ分かりやすくお伝えできたらと考えています。

第4回 ニホンミツバチ養蜂研究会

日本みつばちの勉強のため京都に行ってきました。
全国で年に一度の「ニホンミツバチ養蜂研究会」が開催され、
日本各地から日本みつばちの養蜂家がわさわさ詰め寄せています。

島からバスや電車を乗り継いで、たどり着いたのは京都学園大学。
会場に着くと、年配の男性がたくさんでキョロキョロ。
みんなニホンミツバチが大好きなんだろうな。
久しぶりに感じる大学の雰囲気でワクワク。
ホールに集まった人はざっと200人ほど。
同世代は1人、2人くらいだなぁ。

 

第4回ニホンミツバチ養蜂研究会2

研究会で話の中心になったのは「アカリンダニ」という寄生虫の話。
報告者は前田太郎さん(農研機構 生物機能利用研究部門)、坂本佳子さん(国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)。
この夏、巣箱の周りに大量のみつばちが落ちて死んでいるのをたびたび見ていたのだけど、
その原因の一つと考えられるのがこの「アカリンダニ」。
みつばちの気管に入り込み、その管の中で交尾、産卵、生活する彼ら。
気管の中で交尾をしたのち、メスはみつばちの体表に出てきて別のみつばちに飛び移る。
そして、そのみつばちの気管の中に入り込み産卵し・・・と繰り返される。
むむむ。。
もちろん気管にそんなのがぎゅうぎゅうにいると呼吸が苦しい。
息苦しいので羽ばたくこともどんどん難しくなっていく。
飛翔力が落ちて、蜜を集めに出かけたまま帰ってこれない個体も出てくる。
これは群れとしても重大な問題につながっていく。
蜜の貯蓄量が減るというのもあるけれど、熱量が減ることにもなる。
寒い時期、日本みつばちは猿山の猿みたいに身を寄せ合い、団子状態になって羽を震わせ暖め合い春を待つ。けれど、アカリンダニに寄生され飛翔力が落ちていると満足に羽を震わすことができず、群れ全体が冷えて凍死。コロニーは消滅してしまう。

アカリンダニに対する特効薬はまだない。
もともと海外で見つかったダニの一種で、日本で報告されたのは2010年のこと。
その後も感染は拡大を続けていて、今では離島地域以外どこにでもいると考えられている
広がった原因は、自然要因(分蜂、引っ越し)もあるけど、人間が蜂を巣箱ごと移動させることで、寄生しているダニも運ばれたことが大きいとのこと。
日本みつばちは西洋みつばちと比べ、病害虫に強いと言われてきたけれどそれは間違いだという。
もちろん強いことは強いのだけど、それはあくまでも日本にこれまで存在してきた病害虫に強いということであって、日本みつばちがこれまで出会ったことがない海外の病害虫に対しては為す術がない。日本みつばちはアカリンダニに適応していく可能性はあるものの、それは今後の話。

では、日本みつばちは減少傾向にあるのか?
巷では農薬やダニなどの影響でみつばちがどんどん減っているのではないかという話もあるものの、減少を示すデータはないという。
ただ、農薬によってみつばちの抵抗力や運動能力が落ちている可能性があること、それによって病害虫にかかるリスクが増している可能性などが言えるとこのこと。

いろいろ分かっていないことだらけの日本みつばちの世界。
そして何だかやっぱり楽しそうな研究者の人たち。
日本みつばちは、心配な部分も含めて魅力的。
うちのハチさんたちはこの冬ちゃんと越せるだろうか。
近いうちにまた見に行こう。

Umekiki Marche出店準備中

13日(火)からのUmekiki Marcheに向けて準備中。
せっせと瓶に詰めたり、ラベルを貼ったりしています。
春採り蜜も10個だけ持っていく予定でいます。
ちょっとしか採れないので、あまり数は持っていけないのですが、とても綺麗な淡い色と、華やかな花の香りが抜群です。
夏採りの蜜は柑橘のような色合いと、豊かな風味がクセになる味。
秋採りの蜜は何と言っても濃厚!
梅田で皆さんに味わっていただくのが楽しみです♪

【Umekiki Marche】
開催日:9月13日~15日
開催場所:グランフロント大阪うめきた広場
時間:13時~20時

瓶詰め

(ようこ)