分蜂!!それは「巣別れ」ともいいます。  

初春~初夏にかけて、巣箱の中から女王蜂と約半数の働き蜂が新しい住処を求めて出ていくことがあります。このことを「巣別れ」「分蜂(分封)」と言います。

一体何が起きているのか?

巣の中では、みつばちたちが子孫反映のために、春になると巣箱の中では新しい女王蜂を迎えるための準備が始まり、王台と呼ばれる女王蜂専用の特別な巣房が作られていきます。
(このなかで、女王蜂の幼虫は栄養価の高いローヤルゼリーを与えられて育てられます。)

日本みつばち 王台

他の六角形の巣房と比べて、明らかに大きい。

 

王台の数は、群れの規模によっても変わるようですが、数個~十数個できるそうな。
王椀と呼ばれる女王蜂を育てるための場所なのです。

日本みつばち 王台

この写真は王椀。

 

ただ、1つの群れに、女王蜂は1匹

みつばちの世界では、1つの群れの中では、女王蜂は1匹しか生息することができません。

そのため、新しい女王蜂が生まれる直前に、これまで巣の中にいた母女王蜂は、これから生まれてくる新しい娘女王蜂に、今の巣を譲り、母女王蜂は新天地を求めて、約半数の働き蜂と共に飛び立っていくのです。この現象が「分蜂」です。

 

分蜂して出ていった群れは、

一旦、巣箱の近くの太い木の枝などに蜂球と呼ばれる塊を作って集合し、ある程度の時間を過ごします。

日本みつばち 分蜂蜂球

これが蜂球、みつばちだけでできています

 

なぜこの状態で

集合しているのかというと、この時点では、まだ新しい住処が決まっておらず。この段階で、偵察隊の働き蜂が新しい住処となる場所を探しに出かけており、残った働き蜂と女王蜂が蜂球の状態で待っている状態なのです。(正確には、分蜂前の元の巣にいたときから、偵察隊は新しい住処を探しに出かけています。)

ちなみに、分蜂した働き蜂たちはいつ新居が決まるかわからないということもあり、お腹にたっぷりと蜜を蓄えてて出ていきます。そのため、危害を加えなければ、刺されることはほとんどありません。

 

そして、気に入った良い新居が見つかったら、群れがその場所へ向けて、一斉に飛んで行きます。
近くに置いてある巣箱の中に居ついたり、もしくは、山の中や石碑の隙間などに自然巣を作ったりすることも。

この大移動を、直接この目で見たら、とてもびっくりするという話をよく聞きますが、実は私はまだ見たことがありません…。今年こそは見てみたい。

 

大きな群れの場合は、

分蜂から数日後に、王台から新女王蜂が誕生して、第二分蜂がはじまります。この場合も、同様に、姉女王蜂が約半数の働き蜂を引き連れて、新天地を求めて飛び立って行きます。その後、第三分蜂ってことも。

そして、残った王台は、分蜂しなくなった巣の中では、これ以上、女王蜂が生まれてこないように、巣の主となった新しい女王蜂や働き蜂によって、王台が壊されて、幼虫も抹殺されます。なんとも厳しい社会です。
(ちなみに、同時に女王蜂が生まれた場合は、どちらか一方が死ぬまでの、殺し合いになるそうな。)

 

実は、分蜂は働き蜂がコントロール?

春になり、暖かくなってくると巣の中では、働き蜂が育児や採餌・貯蜜など、働き蜂たちが活発に活動するようになります。そうすると、巣の中はいっぱいになり、手狭になってきます。そこで、働き蜂たちが、巣の中で新しい女王蜂が生まれるよう準備し、そして、分蜂させるようにコントロールしているとも言われています。

日本みつばちの養蜂家にとって

年に1度だけ。

唯一、この時期だけが、巣箱で飼う群数を増やすことができる時期なのです。
この時期にどれだけ蜂に入ってもらえるかで、これからの先の採蜜量などが決まってくる大切な時期なのです。

みつばちたちに巣箱に入ってもらえるように、頑張っているところです。

 

ということで、

今回は、今の時期しか見れない「分蜂」について。
田舎に住んでいる方なら、山の中やお家の中に巣箱を置いておいておいたら、もしかしたら、日本みつばちが新しい住処として居ついてくれるかもしれません。

蜂蜜って何?〜蜂蜜との出会い〜

蜂蜜との出会い

花の香りに、濃厚な舌触り、芳醇だけどしつこさのない蜂蜜に
今ではすっかり信頼を置いているものの、ちいさな頃は蜂蜜が苦手な子どもでした。
だから、家で焼くおやつのパンケーキには
バターとメープルシロップをたっぷりかけるのがお気に入り。
もちろん今でもバターとメープルシロップは大好きだけど、
季節によって、場所によって異なる蜂蜜をそーっとかけてパクリと頬張る幸せは
これまた格別、と思うようになりました。
私がはじめて蜂蜜を「美味しい」と感じたのは(そして苦手意識がクルッと変わったのは)、ユキオさんからもらった日本みつばちの蜂蜜を食べた時。

「好きな人にもらったからかな」とも思ったけれど、
きっとそれだけでじゃなくて、ユキオさんのお父さんがすっかり虜になって、
たいせつに関係を紡いでいるみつばちが作る自然な味わいが、本当に美味しかったのだと思います。

それからしばらくして、淡路島に初めて遊びに行きました。
友人も一緒に行ったので、後で「それでどっちの子が彼女なんだ?」と言われたそうだけど、ともかく日本みつばちに興味津々の私たちと友人で、お父さんが夢中になっているみつばちたちを見せてもらうことに。

森に入ると、みつばちたちは蜜を集めては戻ってきて、また飛びたってと元気いっぱい。
とても賑やか、ご機嫌さん。

巣箱をささっと掃除して、たくさん入っている巣箱から1段だけ分けてもらう。
ぶんぶんぶんと羽音を立てて、大勢がわーっと舞っている。

初めて見る採蜜作業、そしてユキオ父との初めての出会い

初めて見る巣箱、そして採蜜作業におっかなびっくりの私たち。
お父さんは淡々と、でもちょっと嬉しそうに作業していく。

森での作業が終わったら、今度は作業場で巣と蜂蜜を分ける。
箱から巣板を外して、ロウの蓋を取り、後は自然と蜜が垂れるのを待つ。

ロウの蓋を取る

お父さんが巣箱から巣蜜を取り出して蜜を濾す時に、
ひょいと一欠片食べさせてもらった時の衝撃も忘れがたい思い出。

とろーり

採ったばかりの巣蜜

暖かい季節、常温でほろ温い蜂蜜のふわぁ~っと香り立つ花の香りと
通り抜けるような芳醇で透き通った甘みが、ジュワーっと口の中に広がる。
「蜂蜜って、こんなにも真っ直ぐな味わいなのか」と思ったかどうか定かではありませんが、ただただ「おいしい…!」と驚いたことを覚えています。

ということで次回

さて、この蜂蜜はどうやって作られるものなのか、
次回は蜂蜜ができるまでをお伝えします。

美味しい食べ方〜紅茶編〜

蜂蜜を販売しているとよく訊かれるのが
「紅茶に入れるならどの蜂蜜が合いますか?」  
ということ。

蜂蜜は採蜜する季節ごとに味わいが異なるもの。
春・夏・秋で随分変わるので同じ群れでもいろいろ楽しめちゃいます。

左から春採り・夏採り・秋採り

左から春採り・夏採り・秋採り

だから、季節の蜂蜜と紅茶の組み合わせって
いろんなバリエーションがありそうです。
ざっくり言えば、ミルクティーには秋採りの濃厚な蜂蜜、
春採りの蜂蜜は花の香りが明瞭なのでハーブティーにぴったり。

そんな風にお伝えすることが多いのですが、
もうひとつおすすめしたいのが紅茶の選び方。
「せっかく蜂蜜を入れて楽しむなら、紅茶は香りの穏やかなものがぴったり、らしい。」
そんなことを友人から聞いて試してみたところ、本当に美味しい。

「穏やかな味わいが蜂蜜に合うらしい」と友人がくれた。ミルクティー向きのセイロン・ルフナ(左)とチャイによく使われるシロニバリ(右)

紅茶の風味に、ミルクのまろやかさ、
蜂蜜の味わいがしっかりと合わさって素敵。
香りがしっかりとしている紅茶には、
傍に蜂蜜を置いて、スプーンで時々すくって食べるのも良い。

なーんて言いながら、香り立つチャイも美味しい。
チャイにぴったりの葉っぱに、もりもりスパイスを入れてグツグツ煮出す。

茶葉とスパイスの良い香り

スパイスと紅茶のいい香りが部屋中に広がる幸せなひと時。
あとは、牛乳を入れて温めて、仕上げに秋採りの蜂蜜をとろり。

秋採りの濃厚さ

やっぱりミルクティーには濃厚で芳醇な秋採りの蜂蜜を入れたい。
本当はこんな熱いものに蜂蜜を入れるのは…だけど、
豊かな味わいのチャイに、秋の蜜で一層膨らみが増すような気がする。
こんな寒い時期には、芯から温めてくれるスパイスの力が心強い。

さて、今回は紅茶との楽しみ方でした。
美味しい食べ方〜◯◯編〜、今後も時々やっていきます。
ところで、みんなはどんな風に使ってるんだろう?
「こんな使い方も美味しいよ」など、教えて頂ければ嬉しいです。
ではまた。

“日本みつばち”ってどんなはち??

ミツバチに種類があるなんてって思う方もいるかもしれませんが、ほかの動物や昆虫のように様々な種類のみつばちがいます。

日本に生息しているみつばち

日本に生息しているみつばちは、

日本みつばち(ニホンミツバチ)セイヨウミツバチの2種類だけ。

 

言葉の響きだけでいえば、

“ニホンタンポポ” と “セイヨウタンポポ”

“ニホンザリガニ” と “アメリカザリガニ”

こんなかんじですね。

(ただし、セイヨウタンポポやアメリカザリガニは「日本の戦略的外来種ワースト100」に定められており、日本中広がって、生態系などに影響を及ぼしている生物です。)

 

「ニホン」という名前がつけば、いかにも日本に昔からいる生き物
「セイヨウ」「アメリカ」という名前がつけば、海外からきた生き物
そんな、イメージが湧くと思います。

 

日本みつばちもその名の通り、昔から日本にいる在来種のみつばちであり、山の中や森の中、野生で生息しているみつばちです。
日本での養蜂の歴史は、「日本書紀」に養蜂に関する記述が残っており、ずっと昔から、日本人の営みと養蜂はつながっています。

 

一方、セイヨウミツバチは、日本には、明治時代に輸入され、全国的に養蜂家さんのなかで広がっていったみつばちです。養蜂家さんがしっかりと管理していることやスズメバチという天敵がいることなどから、野生で増えるということはありません。

 

そして、実は日本で流通しているはちみつのほとんどがセイヨウミツバチの蜂蜜なのです。

※セイヨウミツバチと日本みつばちの違い、歴史、日本の蜂蜜事情などは別のコラムに書こうと思います。

 

では、本題の日本みつばちについて

 

学術的には”ニホンミツバチ”

学術的には、日本みつばちは学術的にはトウヨウミツバチ(Apis cerana)の亜種であり、学名はニホンミツバチ(Apis cerana japonica)といいます。

ただ、私個人的には『ニホンミツバチ』と書くよりも、「日本みつばち」と書く方が暖かいかんじがするので、こっちで書くことが多いです。

また、地域によっては、「和蜂(わばち)」「山蜂(やまばち)」「大和みつばち(やまとみつばち)」などと呼ばれているそうです。

日本みつばち 系統

 

大まかな分類はこんなかんじ(なんとも難しい…)

野生のはち?でも、飼うことができるはち

日本みつばちは野生で山林の中にいることが多く、民家の屋根や石の割れ目などにも巣を作っていることもあります。また、先ほど書いたように、ずっと昔から日本では飼われていたそうです。

最近では、趣味で日本みつばちの養蜂をしてる方が増えてきており、個人養蜂家さんが全国にたくさんおります。DIYで巣箱を作って、気軽に楽しむことができます。
(ただし、都道府県に届け出が必要です)

ただ、そんな日本みつばちは、飼っているといいながらも突然逃亡して蜂の群れがいなくなったり、様々な害虫に攻められて巣箱を全滅させられたりと、野生に近いような世界です。

たくさんのみつばち

 

小さくてモフモフ(見た目)

小さくて、胴の部分の縞々がはっきりしていて、どちらかといえば黒っぽいです。これは群れや季節によって違います。少しサイズが大きかったり、黄色が強かったり、黒っぽかったり様々です。
また、頭の部分はモフモフして、かわいいです。

ですが、かわいいからと言って、近づきすぎると刺されることもあります。私は何度か刺されております。

日本みつばち

見ての通り、モフモフと目がかわいい。

日本みつばち

通常時は刺しません。

 

彼らが作るはちみつ

1匹の働き蜂が一生の間に集める量は、ティースプーン1杯分と言われています。毎日毎日、たくさんの花から蜜や花粉を集めて、巣に持ち帰ります。

季節ごとの様々な花や樹木から蜜を集めてくるため、日本みつばちの蜜は百花蜜と呼ばれています。集めてきた蜜は巣の中でじっくりと熟成され、風味豊かで濃厚な蜂蜜になります。

1 つの群れが蜂蜜を取れるようになるまで、2 年以上はかかり、1 つの群れからは年間1 ~ 2 度しか取れません。採蜜する季節によって、色や味わい、風味が違ってくるのも特徴です。

日本みつばち蜂蜜

で、お店で見かけないのは?

ただ、日本みつばちの蜂蜜は、市場に出回ることはほとんどありません。
そのため、お店で見かけることはほとんどありません。

先ほどお話ししたような野生に近い世界なので、群れがいれば必ず蜂蜜が採れるというわけではないということ。そして、日本みつばちはセイヨウミツバチと比べて、約1/10程度しか蜂蜜を作ることができないことにあります。これらの理由で、採れる蜜の量がとても少ないのです。
そのため、「幻のはちみつ」と言われることもあります。

 

最後に

ということで、今回は”日本みつばち”についての概要をお伝えしました。

今後はそれぞれのことを少しマニアックに、かつ分かりやすくお伝えできたらと考えています。