日本に輸入される蜂蜜はどこから来ているのか?

どーも、細かな数字を見るのが好きなゆきおです。

以前のコラムで日本国内のはちみつの流通量について、農林水産省が公表しているデータを基に簡単に分析をしました。前回のコラムはこちらから。

その中では、国産蜂蜜はたった7%であり、残りの93%は海外から輸入された蜂蜜であるということでした。しかも、輸入蜂蜜の約7割は中国から。前回の復習はこちらの図で。

データを基に、草地家が独自に作成

そんなデータを見ながら、一体どんな国から輸入されているのかが気になったので、今回はもう少し詳しく調べてみました。

 

輸入・輸出されるもの

日本から輸出されるもの、日本に輸入されるものはすべて、財務省貿易統計から数量や重さ、金額などを月単位や年単位で調べることができるのです。

貿易統計とは貿易統計は、経済統計に関する国際条約及び関税法に基づき、我が国の貿易の実態を正確に把握し各国の外国貿易との比較を容易にすることにより、国や公共機関の経済政策、私企業の経済活動の資料に資することを目的に作成、公表及び閲覧されるものです。(引用:財務省HP

もちろん、はちみつも勝手に輸入していいものではありません。蜂蜜の関税は約30%(WTO協定国で25.5%)とちょっと割高なのです。(そのことについてはまたいつかのコラムで)

はちみつはどの国から?

貿易統計によると、2015年は世界196カ国のうち41カ国の蜂蜜が日本に輸入されていることがわかりました。一覧は以下の通り。
ダントツで多いのは中国で26,411,417kg(26,411トン)という圧倒的な量。そして、一番少ないのはエストニアでたったの72kg。

(出典:貿易統計 草地家が独自に作成)

順位 国名 輸入量(kg)
1 中華人民共和国 China 26,411,417
2 アルゼンチン Argentina 3,277,996
3 カナダ Canada 2,842,142
4 ミャンマー Myanmar 738,210
5 ハンガリー Hungary 720,998
6 ニュージーランド New Zealand 549,296
7 メキシコ Mexico 406,985
8 ルーマニア Romania 236,780
9 スペイン Spain 191,961
10 オーストラリア Australia 119,190
11 ベトナム Vietnam 98,300
12 ドイツ Germany 94,529
13 イタリア Italy 87,758
14 フランス France 74,920
15 ブラジル Brazil 54,910
16 グアテマラ Guatemala 53,700
17 エチオピア Ethiopia 41,760
18 ウクライナ Ukraine 39,315
19 スイス Switzerland 29,013
20 インド India 22,947
21 タイ Thailand 22,766
22 アメリカ合衆国 United States 18,217
23 キューバ Cuba 18,000
24 ブルガリア Bulgaria 14,989
25 スウェーデン Sweden 13,938
26 英国 United Kingdom 11,264
27 タジキスタン Tajikistan 10,000
28 オーストリア Austria 5,829
29 大韓民国 South Korea 3,593
30 キルギス Kyrgyzstan 2,667
31 ギリシャ Greece 1,970
32 台湾 Taiwan 1,725
33 トルコ Turkey 1,309
34 フィンランド Finland 1,008
35 ポルトガル Portugal 797
36 オランダ Netherlands 522
37 南アフリカ共和国 South Africa 350
38 ポーランド Poland 275
39 モンゴル Mongolia 125
40 チュニジア Tunisia 100
41 エストニア Estonia 72
36,221,643

 

世界地図で見るとこうなります。世界各国から輸入されてることがよくわかります。地図で見ると一目瞭然。わかりやすいですね。特に、欧米やアジア、オセアニアからの輸入が多い中で、中東やアフリカからはとても少ないです。
(そして、Wordpressを使うとこんなことも簡単に表現できるんですね。改めて感心しました。)

 

(上記のデータを基に草地家が独自に作成)

うちにある蜂蜜のなかで

うちにはとても希少な南スーダンの蜂蜜があります。
この蜂蜜は、今年の1月、東京に仕事で行ったときに、陽子ちゃんがマルシェで出会ったもの。
マラウィやケニア、南スーダンで養蜂技術の指導から輸入・販売までを行い途上国支援をしているフェアトレード蜂蜜なのです。そんな素敵なはちみつなのです。
そして、まだ開けることなく、そのままです。

南スーダンの蜂蜜

今回は

世界中の様々な国から、日本に蜂蜜が届けられているということを可視化してみました。
はちみつを味わうだけでなく、どの国で、どんな風に作られた蜂蜜なのか、調べてみたり、思いをはせてみたり。そういうこともよいですね。

この蜂蜜というものは、日本では、奈良時代から記録が残っているものです。その後もずっと日本人の暮らしと密接につながってきたものだと思います。この日本という国の中で、時代の変化と共に養蜂や蜂蜜はどのような扱いがされていたのか。
そして、いつ、どの段階で、海外のはちみつが増えていったのか?などなど。
もう少し勉強してから、コラムにしていきたいと思います。

日本のはちみつの流通量~統計データから学ぶ~

今週は日本でのはちみつ流通量について、国が出している統計データから見ていきたいと思います。

養蜂業の分類

その前に、養蜂業は、日本標準産業分類の中では、
大分類:A農業,林業
中分類:01農業
小分類:012畜産農業
細分類:0129その他の畜産農業
に属します。

そのため、養蜂やはちみつのデータについては、毎年、農林水産省が「養蜂をめぐる情勢」というものをまとめており、そこから様々なことが見えてきます。

ちなみに、この日本標準産業分類は、国が公的統計の作成に当たり産業別に表示するための分類です。複数の事業にまたがっている場合、例えば、養蜂をして、はちみつを販売している場合は、「E製造業」に属したり、「I卸売業,小売業」に属する場合もあります。このあたりは、特に厳しい縛りはないみたいです。

蜂蜜の流通

こちらのデータをご覧ください。

養蜂をめぐる情勢

出典:農林水産省 養蜂をめぐる情勢(平成28年10月)

 

実は、日本で使われているはちみつの約93%は輸入であり、国産蜂蜜はたった7%しかないのです…。実はこんな現状なのです。家庭用でも国産はたった13%であり、87%は輸入蜂蜜。そういえば、スーパーなど、お店で並んでいるもののほとんどは海外のものですからね。

ちなみに、平成27年度の日本の食料自給率はカロリーベースで39%、生産量ベースで66%です。こちらを参照
そして、小麦は、国産は約13%、輸入が約87%。砂糖は国産が約40%、輸入が約60%。

内訳を見やすくするとこんな感じになります。

輸入蜂蜜の約73%は中国産であり、そのあと、アルゼンチン産やカナダ産など。ヨーロッパ産はちみつとして日本で有名なハンガリー産はちみつ。あとは、近年人気が高いマヌカハニーがあるニュージーランド産はちみつ。

 

ここからわかること

あと、このデータからわかることとしては、
・国産蜂蜜のほとんどすべてが家庭用であるということ。
・輸入蜂蜜は家庭用が55%、業務・加工用が45%であるということ。

この業務・加工用のはちみつというのは、主には、以前のコラム(蜂蜜って何?~日本の蜂蜜には規格がある①~)で書いた精製はちみつとして、パンやドリンクなどに使われているのだと思います。

輸入量と消費量の推移

もう少し数字を見ていきましょう。

国産蜂蜜がたった7%しかないということについて。統計データから過去にさかのぼっていくと、昭和60年までは、自給率(=国産生産量/消費量)は20.5%あったのに、平成になってからの自給率は7%前後を推移していることがわかります。

蜂蜜の生産量、輸入量及び消費量

出典:農林水産省 養蜂をめぐる情勢(平成28年10月)

 

自給率が減少した理由としては、昭和60年と平成7年を比べると、
・中国産のはちみつの輸入量が約2倍になっていること。
(昭和60年:18,143t → 平成7年:35,138t)

・国内の生産量が半分以下になったこと。
(昭和60年:7,225t → 平成7年:3,362t)

・消費量が約7,000t増加したこと。
(昭和60年:35,272t → 平成7年:42,485t)

が考えらえます。

この急激な輸入量の増加と、国内生産量の減少については、何か理由がありそうな気がします。そして、これらの増減を考慮しても、中国からの輸入量が急激に増え過ぎじゃないかと思いますがどうしてでしょうね。私自身、まだまだ勉強不足です。

なぜ、消費量と輸入量が増えたんでしょうかね?
根拠はないのですが、今、私が考えられることとしては、高齢化・後継者不足などによる国内養蜂家の減少、人口が増加していた時代であり需要が増えたということ、健康志向のはちみつブームでで需要が増えたこと、日本企業の中国進出などかなと思います。また、時代背景などを含めて、調査していきたいと思います。(例えば、複合的な要因で蜂蜜入りの加工品(パンやドリンクなど)が増えたとか。)

また、平成に入ってからは輸入蜂蜜のほとんどが中国産であったことがわかります。最近になって年々中国からの輸入割合が下がってきていますが、日本でのはちみつの需要量が減っているので、相関関係がありそうです。
あとは、ここには載っていませんが、マヌカハニーの輸入量が年々少しずつ増加しており、日本の中でのはちみつ消費の文化が健康や安心・安全、高級志向になっていることもあるのかもしれませんね。

データをみて想像を膨らませる

今週は、農林水産省のデータからわかることを少しだけ書きました。

この「養蜂をめぐる情勢」には、日本の養蜂やはちみつに関する様々なデータが書かれており、とても興味深い内容なのです。他のところの考察については、またの機会に詳しく書きます。

このような数字を見ながら、
なぜ数字が増えたんだろう?
なぜ、前年と違うんだろう?
このデータはどこからきているんだろう?
などなど。

きっといろんな要因があるんだと思います。その、いろんななぜ?について、その理由を書籍やネットで探ってみたり。当時の時代背景やブーム、人口問題、業界の変化、輸入規制などから想像したり。そういうことまで考えながら、統計を見ていると面白いなーって思うのです。

と、今回はちょっと理系っぽくなってみました。ゆきおでした。