かきものCOLUMN

黄色いフンをする

  • 2017.04.12
  • by Yoko

みつばちのフンは黄色い、なんてあまり人は知らないのではないかと思う。
朝、車に乗って出かけようとすると
フロントガラスにレモンイエローの絵の具でピッと跳ねたような跡がついている。
そんなに大きいわけではなく、ほんの3ミリ程度のごく控えめなみつばちの跡。

爽やかなイエロー(2mmほど)

なんて思っていたら、大きいものもあったり。

濃くて、大きい。鳥のフンみたい。

右のほうにペチャ

蛙のフンもそうだけど、体に比して大きく、驚く。
内臓がみんな出ちゃうんじゃないかしら。
いや、でも昨年春に見かけたのはこんなに大きくなかったような…。
鳥のフンみたいに大きいけど、あんな小さな体からどうやってこんなに大量のフンが出てくるんだろう…。謎だ。

彼女らの動きが活発な春や夏にはフロントガラスにぽつぽつ、
サイドミラーにぽつ、ドアにもドーン、という具合に付着していることが確認できる。

フンがあるということは、彼女らはここに来たわけで、
一度に何カ所も付いていると「やられたな」と思うけれど、
こんなところにあの小さなからだが飛来していたのかと
なんだかちょっと嬉しくなってしまう。

フンはどうして黄色いの?

さて、なぜみつばちのフンはレモンイエローなのか。
記述しているものは多くないけれど、どうやら花粉らしい。
そんな気はもちろんしていた。
みつばちの食べるものは花粉と蜂蜜だから、
その花粉の成分がそのまま排泄されているのではないかと想像してみていた。
そうこう調べてみると面白いレポートが出てきた。
タイトルは「ミツバチの排泄物による苦情事例」、
1978年に沖縄県公害対策課の大見謝氏によって「黄色降下物」の正体及び「黄色降下物」による被害状況について6ページほどではあるが報告されている。
今回はこの人のレポートを中心に参照していこう。

みつばちのフンの話なのだけど、臨場感があって、読んでいると引き込まれてしまう。
例えばこんな感じ…

「ミツバチの飛翔速度は10m/秒であるといわれる。実際、被害の大きい地域で上空を凝視すると家屋よりも高い空間をミツバチらしき昆虫がかなりのスピードで飛びまわっているのが見える。このため、被害者も黄色降下物はミツバチによるものであるとは気づきにくい思われる。」(大見謝、1978)

そのレポートやその他記述されているものによると、みつばちのフンの成分は、やはり花粉が主になっているようだ。
油分も含み、車に付着すると塗装面を破壊し、着色・膨張するとのこと。
そんな力があったとは。明日にでも洗車せねば。
匂いは無臭だと思っていたけれど、乾くまでは匂いはするらしい。気になる。

みつばちは綺麗好き

彼らは巣の中では基本的にフンをしない。
きれい好きな彼らは、巣の掃除も自分たちでせっせとするし、
フンをするときは巣の外に飛んで行って排泄、そして帰って来る。
巣箱から近く、彼らの通り道は彼らのフン害に合いやすい。

そんな彼ら、冬の間も巣内では排泄をしない。
もちろん、寒い巣箱外に出ることはしない。
したがって、冬の間は腸内にフンを溜めたままになっている。

そのため、冬場でも暖かい日や春になると、飛翔しながら腸内に大量に溜めていたフンを排泄するため、他の時期よりもひときわ大きな「黄色降下物」が多数目撃されることになるらしい。

なるほど、黄色くて小さくて可愛らしい彼らのフンについてサラリと書こうと思っていたのに、今日車についたフンを撮影しようと思ったらやけに大きかったのはそのためか。

レモンイエロー、と思って撮影を始めてみると橙色のような濃厚なものもちょこちょこ見受けられた。

春の訪れを告げる、みつばちのフン

なぜだか白色が好きなみつばちたち、
ぴかぴか光る白い車や洗ってあるシャツがターゲットになりやすいみたい。
今年もいっぱいやられるんだろうな。

何気なく「みつばちって、フンまで可愛い。黄色だなんて。」と思って書き始めたけれど、みつばちたちの世界を、また一つ垣間見た感じがしてワクワクしながら書いていった。
他にも、巷を騒がしているボツリヌス菌について書きたい気持ちもあったけど、今回は春になって今年もフンをされたら真っ先に書きたかったこの話をお届けしました。

ということで、今週はここまで!

おすすめ参考文献

大見謝、「ミツバチの排泄物による苦情事例」、沖縄県公害衛生研究所報12、1978
http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/syoho/documents/s12_36-41.pdf

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