かきものCOLUMN

自分とこの米が一番うまい!!

  • 2016.10.05
  • by Yukio

稲刈りも終盤になってきました。
9月後は台風などの影響で、曇りや雨の天気が続いており、うちの近くの田んぼでも、早朝や深夜など時間に関係なくコンバインのエンジン音が鳴り響いております。

そんななか、現在、研修ということで、神代浦壁地区の営農組合にちょこちょこと通っています。

浦壁南営農組合では、ミニライスセンターを運営しております。
このライスセンターでは、「自分で作ったお米を自分で食べることができる」ということ。
米を作っているのだから、当たり前に聞こえるかもしれませんが、そのような農家さんも減っているのが現状です。

淡路島(特に南あわじ市)のコメ事情

全国的には、表作がお米であるのに対して、淡路島では裏作がお米。
お米は野菜のために作られるというのが一般的であり、水田にすることで、土壌消毒や連作障害対策になり、同じ圃場内でのレタスなどの葉物野菜や玉ねぎの作付につながっていきます。

そのため、南あわじの三原平野では、玉ねぎの収穫が終わった6月中旬以降に、代掻きなど、早朝から深夜までトラクターが稼働し、玉ねぎ畑から一転して、水田に変わってきます。1週間程度で農地の景色が変わっていくのは圧巻です。

そして、この9月中旬から10月にかけて、コンバインを使ってお米は収穫されます。
ただ、淡路島のお米。山間の土地ではお米の産地として、評価の高い地域ではありますが、一般的な平野部のお米は決して評価が高いわけでなく、安値で取引されます。そのため、ほとんど収益になりません。(むしろ、人件費まで考えた場合には赤字となります)

そこで、問題になってくるのが、農業機械など大きな出費です。田植え機、コンバインに加えて、各農家で籾摺りまで行うのであれば、収穫後のコメを乾燥させる乾燥機、籾摺機。またそれを収納する倉庫まで必要になり、かなりの投資が必要になってきます。
数年前までは、多くの個人農家さんが個々で乾燥機や籾摺機を所有していましたが、米での利益と比べた時の費用対効果の悪さなどから、設備更新でお金をかけてまで、大型機械を買う農家さんが減ってきているのが現実です。田植え機やコンバインの共同利用なども増えてきております。

ただ、そこで、水稲をやめるのではなく、自分たちで食べる分や親族にあげる分くらいは、自分の圃場で作りたいということもあり続けています。

他の人のお米とは混じらない

話を戻すと、浦壁南営農組合では、田植え、稲刈り、米の乾燥・籾摺りなどの委託を受けております。田植え機やコンバインがない農家さんに対しては、田植えや稲刈りなどのお手伝いもしておりますが、それ以上に、刈ってきた籾を鉄コンに入れて持ってきたら、乾燥・籾摺りまでを行ってくれるというところが特徴です。

籾   玄米

5トンや3トンなど、小型の乾燥機があり、各農家ごと、品種ごとで分けて決してほかの人のお米とは混じらないということが一番の売りです。

ホッパー  乾燥機
JAさんにもライスセンターがあるのですが、大型の乾燥機であり、他の農家さんのお米と混じり、玄米で返ってきたお米は、様々な人のお米とブレンドされたお米になってしまいます。乾燥機・籾摺機のない農家さんでは、「自分で作ったお米を自分で食べることができる」ということができなくなります。

すべてのお米をJAさんなどに販売するのであれば、それでもよいかのもしれません。
ただ、そうではない農家さんにとっては、つらいことです。

自分とこの米!!

価格の安いお米。さらに、乾燥や籾摺りまで委託した際、費用的には、赤字かもしれない。
ただ、自分のところの米を食べたい。そして、自分とこの米が一番うまい!!
親せきや自分の子供に送ってあげたい。
農家さんは、そう感じて、そう信じています。

高齢化や後継者不足など様々な課題を解決するためにできた集落営農組合ではあると思います。
ただ、それに加えて、これらの思いも継続できるようなかたちで約50日間。休まず、このライスセンターは地域の方が運営して、稼働しています。

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